ニュース
国際宇宙ステーション内での臭いをデータ化、地上で類似する臭いを特定へ
2023.06.09 17:58
有人宇宙システム(JAMSS)は6月9日、国際宇宙ステーション(ISS)内の臭いをデータ化する技術実証実験を実施したと発表した。
ISSでは、2000年から宇宙飛行士が継続的に生活しているが、ガスセンサーでの有毒ガスの検出や除去は積極的に行われ、臭気対策も講じられているという。だが、その効果を測定する手段は用意されていなかったとしている。
定期的にサンプルを採取し、地球に持ち帰っているが、宇宙飛行士がISSで実際にどのような臭いを感じているかについては、ある程度想像を働かせる必要があった。
JAMSSは、宇宙での生活の質(Quality of Life:QOL)向上に着目。2022年春にISSで日本初の光触媒空気浄化装置の技術実証を実施。今回の技術実証実験も、前回の実験に続くQOLミッションであり、国内初のISS内の臭いデータを取得するものになるという。
今回の実証実験で活用したセンサーは、アロマビット(東京都中央区)製センサーをJAMSSが宇宙でも活用できるようにしたもの。
実証実験で活用したセンサーは「水晶振動子(Quartz Crystal Microbalance:QCM)」型と呼ばれるもの。臭いの分子が膜表面に吸脱着して起こる質量変化を水晶振動子の共振周波数の変化として検知。膜ごとの周波数変化値を計測し、数値データへと変換する。これまで人の感覚でしか判断できなかった、あらゆる臭いを目で見えるようにデータ化できるようになるという。
JAMSSは、ISS内の臭いの見える化を目指しており、回収したデータを解析し、地上で類似する臭いを特定していくという。ISS内の臭いを見える化することで宇宙旅行者のQOL向上を目指すとしている。
今回の技術実証は、米Axiom Spaceによる、2回目の商業飛行ミッション「Axiom Misson 2(Ax-2)」の参加で実施された。