QPS研究所、小型SAR衛星6号機打ち上げでパブリックビューイング

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QPS研究所、小型SAR衛星6号機打ち上げでパブリックビューイング

2023.06.08 12:45

飯塚直

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 小型の合成開口レーダー(Synthetic Aperture Radar:SAR)衛星を開発、運用するQPS研究所(福岡市中央区)は6月7日、同社が開発する小型SAR衛星QPS-SAR 6号機「アマテル-III」の打ち上げでパブリックビューイングを実施すると発表した。福岡県宇宙ビジネス研究会運営が運営してYouTubeでオンライン配信する。

 6号機は、6月以降にSpace Exploration Technologies(SpaceX)のロケット「Falcon 9」で打ち上げられる予定。

 打ち上げ当日は、打ち上げの様子とともに、QPS研究所 代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)の大西俊輔氏、代表取締役副社長兼最高執行責任者(COO)の市來敏光氏、創業者で九州大学名誉教授の八坂哲雄氏から衛星プロジェクトの背景や同社の衛星が目指す世界、開発秘話などが語られるという。会場には、衛星開発のパートナー企業の代表者も集まり、一緒に配信イベントを盛り上げていくとしている。

 同社は、小型SAR衛星36機による準リアルタイム観測データ提供サービスを目指しており、現在2機の衛星を運用中。

 2022年10月には、本格商業衛星となる3号機と4号機の打ち上げを試みたが、小型固体燃料ロケット「イプシロン」6号機の失敗により軌道投入ができなかった。5号機は、契約したロケット事業会社の状況により、現在打ち上げ日を調整しているという。

 今回、5号機に先行して、6号機を打ち上げることになった。打ち上げ日程については、SpaceXの公表の24~48時間前になる予定。日程が確定した段階で、QPS研究所の公式ウェブサイトや公式twitter(@QPS_Inc)で発表するとしている。

QPS-SAR(出典:QPS研究所)
QPS-SAR(出典:QPS研究所)

 同社は収納性が高く、10kgと軽量ながら大型の展開式アンテナを開発。そのアンテナによって強い電波を出すことが可能になり、従来のSAR衛星の20分の1の質量、100分の1のコストとなる100kg台高精細小型SAR衛星「QPS-SAR」を開発した。

 現在は1号機「イザナギ」、2号機「イザナミ」の2機を運用。2021年5月には、イザナミによる70cm分解能という民間の小型SAR衛星として日本で最高精細の画像取得に成功している。

 3号機以降はさらに高精度、高画質の画像を取得できるよう様々に改良。展開できる太陽電池パネルとバッテリーを追加し、使用できる電力量を増やした。アンテナの鏡面精度も向上させることで、さらに強い電波を出せるようになっていると説明する。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)とアルウェットテクノロジー(東京都三鷹市)が共同開発した「軌道上画像化装置」を搭載することで、観測データを軌道上の衛星内で処理し、衛星からのダウンリンク量を大幅に削減できるようになり、即応性の高い観測ニーズに応えられるようになるという。衛星コンステレーションを構築するため、軌道制御用の推進器(スラスター)を搭載している。

 1号機のイザナギ、2号機のイザナミに続き、太陽同期軌道に入る予定だった3、4号機も「古事記」に登場する神の名前を借りして“アマテル”と名付けた。アマテルはアマテラスの別称で、天空を照らす太陽神とされる。同社のプロジェクトでは、衛星ごとではなく、軌道ごとに愛称をつけるため、同じ軌道に入る6号機はアマテル-IIIになる。

 打ち上げ失敗で3号機「アマテル-I」と4号機「アマテル-II」は軌道に投入できなかった。しかし、その経験を糧に前へと進む同社ににとって、3号機と4号機は他になく、同じ愛称で再び打ち上げるのではなく、次の衛星に想いを託してアマテル-IIIという愛称に決定したと解説する。

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