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ジェットとロケットを切り替える宇宙飛行機を開発するPDAS、クラファン開始

• #PDエアロスペース

　“宇宙飛行機（スペースプレーン）”を開発するスタートアップ企業PDエアロスペース（PDAS、名古屋市緑区）は5月26日、クラウドファンディング企画「宇宙機開発に『名を刻め！』」を開始した。

　スペースプレーンは、垂直に打ち上げられる従来型ロケットとは異なり、翼を持ち、滑走路を走行して水平に離着陸する航空機と同じスタイルで往還する。

　PDASが開発するスペースプレーンは、「回転デトネーションエンジン（Rotating Detonation Engine：RDE）」と呼ばれる技術でジェット燃焼とロケット燃焼をひとつのエンジンで切り替えて作動させる「ジェット／ロケット燃焼モード切替エンジン」を採用するのが特徴。既存の空港でも離着陸が可能になるという。

　PDASは、2030年の宇宙旅行を実現させるべく、有人での準軌道（サブオービタル）飛行が可能なスペースプレーンの開発と就航を目標にしている。現在、飛行実験機や新型エンジン、宇宙港など、さまざまな開発を並行して進めている。

　スペースプレーンの開発過程で、無人から有人へ、小さな機体から大きな機体へ、小推力から大推力のエンジンへなど、徐々に技術を高度化・大型化させていく計画だという。

　現在は、無人飛行実験機「PDAS-X06」の開発を進めている。X06は、地上からパイロットが操縦する（自動操縦も可能）。ジェットエンジンで飛行し、最大高度8kmに上昇できるが、ロケットエンジンは搭載されておらず、宇宙への到達能力はない。

　X06は、次の開発機である無人サブオービタル機「PDAS-X07」の開発に必要な基本情報を獲得することが目的。X07の機体を大型化するとともに有人で飛行するサブオービタル機「PDAS-X08」も開発する。

　X06は（1）地上滑走試験（Ground taxi Test：GT）、（2）ローテーション試験（Rotation Test：RT）、（3）飛行試験（Flight Test：FT）――という3つの試験を予定。現在は、GTを目指して開発を進めている。

　X06の次に開発する予定のX07は、ジェットとロケットを切り替えるエンジンを搭載してサブオービタル飛行を予定。搭載されるエンジンも、RDEの技術を確立するとともに燃焼モードの切替機構を実証するための「RDE-S0」、X07に搭載するための「RDE-S1」、X08に搭載するための「RDE-S2」を開発する。

　今回のクラウドファンディングは「宇宙を身近に」をコンセプトに、スペースプレーンを開発する過程に何らかの形で携わり、その痕跡、証として、名前を残す（刻む）ものとなる。開発が順調に進めば、その軌跡は航空宇宙史に残る、文字通り「名を刻む」ものになると説明する。

　今回始めたクラウドファンディングは、同社公式サイト、X06の素材や部品、X06の機体に支援者の名前を掲載する。合計で9つのコースが用意されており、それぞれのコースと返礼アイテム、税込金額は以下の通り。

A「PDAS公式サイトに名を刻め！A」お礼メール＋同社公式サイトへの名前掲載＝500円
B「PDAS公式サイトに名を刻め！B」Aの返礼アイテム＋開発ステータスレポート＝1000円
C「素材で名を刻め！」Bの返礼アイテム＋X06マテリアルカード＝1万円
D「部品で名を刻め！」Bの返礼アイテム＋部品写真＋PDASグッズ＝3万円
E「X06に名を刻め！ベーシック」Bの返礼アイテム＋X06グッズ＋X06に名前掲載＝10万円
F「X06に名を刻め！スタンダード」Bの返礼アイテム＋X06グッズ＋X06に名前掲載＋X06フォトスタンド＋ミニオンラインサロン参加権＝50万円
G「X06に名を刻め！プレミアム」Bの返礼アイテム＋X06グッズ＋X06に名前掲載＋飛行試験サイトツアー＝100万円
H「企業ロゴで名を刻め！」Bの返礼アイテム＋1年間のスポンサー権＝1000万円
I「極秘で名を刻め！」（返礼アイテムが不要な方向け）＝自由に価格を設定できる（最低購入価格500円～）

　X06には、メンテナンス用ハッチである「アクセスパネル」が合計6カ所あり、E、F、Gの3コースでは、アクセスパネルの内側に支援者の名前をフィルムに印刷して貼り付ける。C、E、F、Gの4コースは7月31日午後11時59分59秒までの期間限定となっている。その他は、8月1日以後も支援できる通年のものとしている。