ElevationSpace、研究開発担当に元JAXAの藤田和央氏--「はやぶさ」などに従事

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ElevationSpace、研究開発担当に元JAXAの藤田和央氏–「はやぶさ」などに従事

2023.04.21 11:44

飯塚直

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 ElevationSpace(仙台市青葉区)は4月21日、藤田和央(ふじた・かずひさ)氏が研究開発担当バイスプレジデントとして入社したことを発表した。藤田氏は宇宙航空研究開発機構(JAXA)で大気圏再突入技術を牽引してきたという。

 基礎科学的な実験から産業利用まで、幅広く利用されてきた国際宇宙ステーション(ISS)は、構造寿命などの関係から2030年末に運用の終了が決定。その後、宇宙を利用できる場所がなくなる。

 ElevationSpaceは、“ポストISS”時代を見据え、世界初の宇宙環境利用プラットフォーム「ELS-R」を開発。同プラットフォームの提供を目指している。

 ELS-Rは、無重力環境を生かした実験や実証を無人の小型衛星で行い、それを地球に帰還させて顧客のもとへと返す世界初のサービスと説明。そのため、宇宙空間に打ち上げた物資を地球に持ち帰ってくる「大気圏再突入技術」が欠かせない。

 大気圏再突入技術については、国内ではJAXAが行った数件しか成功例がなく、世界でも同技術を持っている企業はわずかしかないという。

研究開発担当バイスプレジデントを務める藤田和央氏(出典:ElevationSpace)
研究開発担当バイスプレジデントを務める藤田和央氏(出典:ElevationSpace)

 研究開発担当バイスプレジデントに就任した藤田氏は、JAXAで小惑星探査機「はやぶさ」や「はやぶさ2」、次世代型無人宇宙実験システムの再突入モジュール(USERS/REM)の開発に従事。大気突入・着陸・回収(Entry-Descent-Landing and Recovery:EDL&R)の技術開発を推進してきた。

 はやぶさシリーズでは、大気圏再突入時にカプセルが1万度以上の高温にさらされ、表面温度は3000度にまで達したが、サンプルリターンを成功。藤田氏の持つ、はやぶさシリーズの知見は、ELS-Rの再突入カプセル開発でも非常に有意義なものだとしている。

ElevationSpaceの経営体制(出典:ElevationSpace)
ElevationSpaceの経営体制(出典:ElevationSpace)

 同社は、経営体制と研究開発力を強化し、新たなリーダーシップチームを組成。同氏をリーダーシップチームの一員として加え、研究開発を加速していくとしている。

 ElevationSpaceには、2022年8月に最高執行責任者(COO)として宮丸和成氏、最高戦略責任者(Chief Strategy Officer:CSO)として河邊尚貴氏が就任している

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