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JAXA、長期宇宙滞在のストレスに関する研究で不適切行為があったと報告

2022.11.25 17:38

佐藤信彦

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、宇宙船を模した閉鎖環境内で人体とストレスに関する医学的な研究を実施したものの、データの捏造(ねつぞう)や改竄(かいざん)といった不適切な行為があったと発表した。

 有人惑星探査のような活動では、宇宙飛行士は宇宙船などの閉鎖環境で長期にわたって過ごす。しかし、専門家が宇宙飛行士と直接面接して精神心理評価することは困難なため、客観的なストレス評価指標に基づいた評価手法の確立が欠かせない。そこで、JAXAは宇宙船内の環境を地上で再現できる「長期閉鎖環境(宇宙居住環境模擬)」を用い、各種指標とストレス反応の測定結果を比較する研究を実施した。

 研究の対象者は公募で選んだ。最終的に合計42人の対象者が閉鎖環境に2週間入り、心拍や唾液、尿、血液、睡眠時間、活動時間の計測、評価者による面談などに協力した。

 JAXA外部の専門家などが調査したところ、研究で得られたデータは信頼性が低いため公表に値せず、研究成果も公表できない事態だったという。たとえば、存在しないデータが作成されたり、数多くのデータが書き換えられたりしており、研究ノートの作成も不十分だった。さらに、精神心理面談の評価方法が確立されておらず、インフォームドコンセントの不備などの問題もあった。

 調査結果と再発防止策などについて、JAXAは報告書にまとめて公表した。

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