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デジタルブラスト、実験装置「AMAZ」の打ち上げをAxiom Spaceに委託
2022.11.01 17:15
デジタルブラスト(東京都千代田区)は11月1日、世界初の民間宇宙ステーションを開発する米Axiom Spaceと、小型ライフサイエンス実験装置「AMAZ」の2024年の打ち上げを含めた業務委託契約を締結したと発表した。
近年、Artemis計画をはじめとした有人宇宙探査が盛り上がりを見せており、宇宙環境での食の確保や植物栽培に対する課題意識が高まっている。
デジタルブラストによると、微小重力環境が植物の育成に大きな影響を及ぼすことが明らかになっている一方で、月や火星といった低重力環境の植物育成への影響は現在十分に把握できていないという。
そこで同社は、月面での生態循環維持システム構築に向けたプロジェクト「NOAH」を立ち上げた。その第一歩の位置付けとなる小型ライフサイエンス実験装置「AMAZ」は、2024年の国際宇宙ステーション(ISS)への設置と運用を目指し、現在地上で実験を進めている。
AMAZは、装置の一部を回転させることで生じる遠心力で、月面と同じ地球の6分の1の重力を再現できるという。発生させる重力は、月面と同じ地球の6分の1の重力のほかに、回転速度を変更することでさまざまな重力環境を再現し、同時比較することが可能と説明。多様な重力下での栽培を通して、植物の重力応答に関する基礎データを取得できるとしている。
デジタルブラストは「ISS National Lab」認定パートナーであるAxiom Spaceと、2024年中にISSでのAMAZにおけるコケ栽培実験を行うため、打ち上げや軌道上での運用、実験容器の回収などにかかる業務委託契約を締結した。契約では、Axiom Spaceと戦略的パートナーシップを組む三井物産エアロスペース(東京都千代田区)が仲介した。
契約ではAMAZ打ち上げに向けた事前準備や安全審査などのサポートも提供されるという。
今後、2020年代半ばにISSへの打ち上げを目指すAxiom Spaceの商用宇宙ステーションに対しても、AMAZの設置や運用を視野に、両社で連携の検討を進めていくとしている。