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次世代の海上通信インフラ「衛星VDES」でコンソーシアム設立
2022.10.26 16:45
次世代海上通信インフラと期待されている「衛星VDES」の社会実装を目的に「衛星VDESコンソーシアム」が10月13日に設立された。10月25日に発表された。
同コンソーシアムにはIHI、商船三井テクノトレード(東京都千代田区)、古野電気(兵庫県西宮市)、アークエッジ・スペース(東京都江東区)、東洋信号通信社(横浜市鶴見区)、日本無線、三井物産の7社が参加。公益財団法人笹川平和財団の海洋政策研究所が事務局を務めている。
陸上に比して海洋でのデジタル化の遅れが危惧されるなか、海上安全の向上に向けたデジタル通信網整備の必要性が高まっている。そこで、自船の位置などを通報する装置として普及が進んでいる「船舶自動識別装置」(Automatic Identification System:AIS)を拡張し、船舶・海洋を対象に双方向通信でネットワークを構築することを目的としたシステムとしてVDES(VHF Data Exchange System)が注目されている。
VDESは、AISと比べて、最大32倍の通信レートを有すのも特徴で、次世代AISと形容されることもある。衛星を利用することで、全地球規模の船舶の安全や安心、洋上業務をリアルタイムに連携可能とし、多数の衛星を協調させて運用する衛星コンステレーション構築に向けた国際的な取り組みが進められているという。
同コンソーシアムでは、衛星VDESの利用促進を行うため、さまざまな分野の産学官が連携してビジネス化のためのプラットフォームを構築することが目的と説明。主な検討項目、活動内容として、ユースケースやビジネスモデル検討、地上VDES通信実験、実衛星利用サービス開発などを予定しているという。
衛星VDES普及を通した海洋でのデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に向け、11月から会員受付を開始するとしている。
総会では、規約を承認するとともに役員が選出され、正式な発足と活動の開始を宣言。代表幹事は、IHIの志佐陽氏、副代表幹事には商船三井テクノトレードの佐野義浩氏と古野電気の荻野市也氏が就く。
日本船舶技術研究協会 専務理事の加藤光一氏、東京大学大学院(新領域創成科学研究科 海洋技術環境学専攻 教授)の佐藤徹氏(予定)、東京大学(空間情報科学研究センター 教授)の柴崎亮介氏(予定)、東京海洋大学(理事 副学長 教授)の庄司るり氏、政策研究大学院大学(学長特別補佐 客員教授)の角南篤氏、東京大学大学院(工学系研究科 航空宇宙工学専攻 教授)の中須賀真一氏がアドバイザーとして参画する。