ニュース

金星観測バルーン「Aerobot」が地球でのテスト飛行に成功

2022.10.14 17:51

塚本直樹

facebook X(旧Twitter) line

 米航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所(JPL)とNear Space Corporationが共同開発する金星探査気球のプロトタイプ「Aerobot(aerial robotic balloon)」が、ネバダ州の砂漠にて2回のテスト飛行を実施した。

 金星の地表は高温かつ高圧なことで知られているが、その上空の環境は地球とあまり変わらない。このことから、金星の雲には微生物が生息している可能性が示唆されている。

 Aerobotは全長4mほどの大きさで、バルーンの中にもう一つのバルーンが入った構造となっている。そして両方のバルーンには、空気よりも軽い高圧ヘリウムが充填される。バルーンを浮かび上がらせるには外側のバルーンにヘリウムを吹き込み膨張させ、下降させるにはヘリウムを内部に移動させて外側のバルーンを縮小させる。

 Aerobotのプロジェクトは、NASAの金星探査プロジェクトにまだ採択されたわけではない。しかしもしこれが実現すれば、最終的な気球のサイズは12mとなり、金星の上空約48〜64kmを飛行することになる。

 ワシントン大学の惑星科学者で、Aerobotの開発に協力しているポール・バーン(Paul Byrne)氏は、「我々は金星の雲を調査するために必要な技術の実証に成功した」と語っている。

(出典:NASA/JPL–Caltech)

Related Articles