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火星の地震計、落下した隕石による震動と音を捉える–クレーターも撮影

2022.09.22 17:02

佐藤信彦

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 米航空宇宙局(NASA)は、火星探査機「InSight(インサイト)」が隕石の落下にともなう振動と音を始めて捉えたと発表した。

 火星の内部構造を調べることが目的のInSightは地震計を備えており、2018年11月の火星到着以来、1300回以上の火星の地震「火震」を観測してきた。今回の隕石落下は、2021年9月5日に発生したもの。振動と音のデータを解析し、85kmから290km離れた地点に落下したと推定した。

2021年9月5日の隕石落下で発生した音(出典:NASA)

 そこで、火星を周回している観測衛星「Mars Reconnaissance Orbiter(MRO)」(リコネッサンス)で該当する地域を撮影したところ、新しいクレーターを3つ確認できた。火星の大気圏に突入した隕石が、少なくとも3つに壊れて衝突したと考えられる。

2021年9月5日の隕石落下で作られたクレーター(出典:NASA)

 こうして得られた知見に基づき、InSightの観測データを改めて調べたところ、2020年5月27日、2021年2月18日、同年8月31日にも隕石落下を捉えていたと判明した。これら3件の落下で作られたクレーターも、MROで撮影している。

過去3回の隕石落下によるクレーター(出典:NASA)
研究成果の紹介ビデオ(出典:NASA/YouTube)

 なお、InSightは活動に必要な電力を太陽光発電で得るが、発電パネルに火星の砂が積もり、発電量が低下している。そのため、まもなく機能停止する見通し。

砂に覆われていくInSight(出典:NASA)

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