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「ペイロードアダプター」はなぜ重要なのか–「アルテミス4号」で考える

2025.07.18 15:46

塚本直樹田中好伸(編集部)

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 予算縮小の危機にある米航空宇宙局(NASA)だが、NASAが主導する月探査計画「Artemis」の第4弾となる「Artemis IV」は2028年9月以降に予定されている。

 ロケットのペイロードアダプターは、宇宙船や衛星などの貨物(ペイロード)をロケットに接続する役割を担っており、ペイロードの打ち上げで重要な役割を果たす。Artemis IVで使われる予定のペイロードアダプターは初期の構造試験を完了している。

 NASAによれば、有人ミッションのArtemis IVは月周回宇宙ステーションの「Gateway」(ゲートウェイ)に焦点をあてたものだ。この国際的なハブ(拠点)は、宇宙飛行士が月、その先の惑星、特に火星を研究することを可能にする。

 宇宙飛行士をGatewayに送り届けるため、NASAは「Space Launch System(SLS)」ロケットで「Orion」(オライオン)宇宙船を打ち上げる計画だ。その前に、ブースターからペイロードアダプターまでのすべての打ち上げ機材が徹底的に試験され、打ち上げの許可を待つことになる。

 Artemis IIIまでのSLSの構成は「ブロック1」だが、Artemis IV以降では「ブロック1B」になる。ブロック1とブロック1Bの第1段(下段)は基本的に同じ構成だが、第2段(上段)が異なる。

 ブロック1の上段は「中間極低温推進ステージ(Interim Cryogenic Propulsion Stage:ICPS)」を使用して、「RL10」エンジンを1基搭載する。ブロック1Bの上段は「探査用上段ステージ(Exploration Upper Stage:EUS)」を使用して「RL10C-3」エンジンを4基搭載する。

 EUSはICPSよりも大型で強力であり、ICPSよりも重いペイロードを月周回軌道に運ぶように設計されている。Artemis I~IIIはOrionを運ぶのが主な目的だが、Artemis IV以降はOrionに加えてGatewayを構成するモジュールなどを運ぶのが主な目的となっているためだ。

(出典:NASA / Sam Lott)
(出典:NASA / Sam Lott)

関連情報
Artemis IV概要(NASA)
Space.com

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