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巨大ロケット「SLS」ブースター、試験中にノズルが吹き飛ぶ–アルテミス計画で使用

2025.07.01 09:00

塚本直樹

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 米航空宇宙局(NASA)の「Space launch System」(SLS、スペース・ローンチ・システム)の固体ロケットブースターが米国時間6月26日の試験中に爆発を起こした。米メディアSpace.comが報じた

 ユタ州プロモントリーにあるNorthrop Grumman(ノースロップ・グラマン)の施設で実施されたのは、約2分間にわたる静的燃焼試験「Demonstration Motor-1(DM-1)」。これは、SLSの将来のバージョン向けに強化された5セグメントモーターである「Booster Obsolescence and Life Extension (BOLE)」の性能などを実証することが目的。

 試験開始から100秒経過が告げられた時、エンジンノズルの上部から炎が噴出するのが確認できたという。数秒後、別の担当者が「後部放水を起動」とアナウンスすると、ロケットの排気口からさらに大きな爆発が起こり、破片が試験場周辺に吹き飛んだ。

 「モーターは良好に作動したように見えたが、燃焼の終わり際に異常が確認された。BOLEは新設計されたモーターであり、今回の試験は将来の開発に向けた貴重なデータとなる」と、Northrop Grummanの推進システム担当バイスプレジデントJim Kalberer(ジム・カルベラー)は述べた。

 改良されたBOLEエンジンには炭素繊維複合材ケーシングが採用され、初期バージョンと比較して10%以上も性能が向上しているという。しかし、BOLEが実際に飛行するかどうかは不明で、NASAの2026会計年度予算案では「Artemis III」(アルテミス3)に続くSLSの中止を求めている

(出典:Northrop Grumman)
(出典:Northrop Grumman)

関連情報
Northrop Grummanプレスリリース
Space.com

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