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「スターライナー」の将来、依然として未定–2026年初頭以降の飛行を検討

2025.06.10 10:00

塚本直樹田中好伸(編集部)

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 米航空宇宙局(NASA)は米国時間6月6日、米Boeing(ボーイング)の「CST-100 Starliner」(スターライナー)の次回飛行について、早くとも2026年初頭になると明かした。

 Starlinerは2024年6月、有人飛行試験(CFT)として、2人を国際宇宙ステーション(ISS)に輸送した。しかしトラブルが発生し、同年9月に無人の状態で地球に帰還。2人の宇宙飛行士は別の宇宙船で9カ月後に地球に戻った

 NASAは声明で「Starlinerのシステム認証と技術的問題の解決を条件に2026年初頭の最も早いISSへの飛行の可能性を評価中だ。次回飛行が有人になるのか無人になるのかについても、まだ評価している」と説明している。

 一方でNASAへの予算圧力がStarlinerの計画に支障をもたらす可能性がある。2025年5月31日に発表された2026会計年度の予算案(詳細版)では、ISSの運用と輸送の予算が約25%削減されている。「NASAが2社の有人宇宙船を維持するのに影響を与える可能性がある」と予算案は記している。

 BoeingはStarlinerの計画全体で20億ドル(約2880億円)の損失を計上した後、今後の計画をほとんど語っていない。Boeingのプレジデント兼最高経営責任者(CEO)のKelly Ortberg(ケリー・オートバーグ)氏は、Starlinerの将来は今後数カ月の連邦議会での予算審議の結果にかかっていると示唆している。

 NASAは、ISSへの宇宙飛行士の送迎を有償で委託する「商業乗員輸送計画(CCP)」としてSpace Exploration Technologies(SpaceX)とBoeingを選定。SpaceXの「Crew Dragon」はすでに2020年11月から実運用されており、2025年7月以降に予定されている「Crew-11」は11回目のミッション(CFTを含めると12回目)。

 Starlinerは実運用前の段階。CFTに問題がなければ、実運用ミッションである「Starliner-1」は2025年2月に予定されていた。Crew-11でISSに輸送される、日本人宇宙飛行士、油井亀美也氏はStarlinerの開発などで助言していた

2024年9月にISSのモジュール「Harmony」の前方ポートからドッキングを解除されたStarliner。Crew Dragon「Endeavor号」から撮影(出典:NASA)
2024年9月にISSのモジュール「Harmony」の前方ポートからドッキングを解除されたStarliner。Crew Dragon「Endeavor号」から撮影(出典:NASA)

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