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NASA、ISSの乗員と研究の削減を示唆–大統領予算案への対応策を検討
米航空宇宙局(NASA)は複数年の予算不足により、国際宇宙ステーション(ISS)で働く宇宙飛行士の人数と研究活動の縮小を検討していることを明らかにした。
NASAは米国時間5月20日に、米Axiom Spaceによる民間人宇宙飛行ミッション(Private Astronaut Missions:PAMs)の第4弾である「Axiom Mission 4(Ax-4)」の記者会見を開催した。
米メディアSpaceNewsによると、その記者会見でISSプログラムマネージャーであるDana Weigel(デイナ・ワイゲル)氏は、ISSへの支出を5億ドル(約720億円)削減するという大統領予算案について質問を受けた。大統領予算案では、NASAの予算は、2024年度の248億ドルから2026年度は188億ドルまで削減することが求められている。
NASAはISSへの物資輸送を民間企業に有償で委託する「商業物資輸送サービス」(Commercial Resupply Services:CRS)の第2フェーズ(CRS-2)を進めている。NASAは現在、毎年4〜5回のISSへの物資補給ミッションを実施してきたが、2025年には3回まで減少させる計画だ。
これは、現在ISSにドッキングしているSpace Exploration Technologies(SpaceX、スペースX)の補給船「Cargo Dragon」(カーゴドラゴン)による「SpX-32」と8月に打ち上げ予定の「SpX-33」、そして秋に打ち上げ予定のNorthrop Grumman(ノースロップ・グラマン)の補給船「Cygnus」(シグナス)による「NG-23」だ。
Weigel氏は、これらの物資不足により、NASAはISSの米国セグメント(カナダ、欧州、日本を含む)の乗員を4人から3人に減らすことを検討しているという。「現在、3人体制への移行が可能かどうかを評価している段階だ」
この「4人から3人に減らす」というのは、ISSへの宇宙飛行士の送迎をNASAが民間企業に有償で委託する「商業乗員輸送計画(CCP)」でSpaceXの宇宙船「Crew Dragon」(クルードラゴン)に搭乗する宇宙飛行士の人数を4人から3人に減らすということだ。
これらの見直しは、2026年度予算案の以前から進められていたものという。「大統領の完全な予算要求が出たら、どのような変更や調整が必要になるかを理解するために、これらの詳細を検討する」とWeigel氏は述べている。

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SpaceNews