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ASTスペースモバイル、スマホ直接通信衛星の打ち上げを加速–米で年内の提供目指す、楽天モバイルは2026年秋から

2025.05.14 17:55

塚本直樹田中好伸(編集部)

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 米AST SpaceMobileは、スマートフォンと直接通信できる衛星コンステレーションの構築に向けて7月から1〜2カ月おきに衛星の打ち上げを開始し、年末までに米国でAT&TとVerizon(ベライゾン)向けにベータ版サービスを提供する。米国時間5月12日に開かれた2025年第1四半期(1~3月)の決算説明会で明らかにした。

 AST SpaceMobileは大型アンテナを備えた衛星「Bluebird」(ブルーバード)を地球低軌道(LEO)に打ち上げることで、大容量通信が可能な衛星通信サービスの提供を目指している。日本では楽天モバイルと提携しており、現時点では2026年第4四半期(10~12月)のサービスインを予定している

 AST SpaceMobileは、今後6〜9カ月に5回の打ち上げ契約を複数のロケット打ち上げ事業者と締結したと明かした。2026年初頭には商用サービスを本格化させ、ビデオ会議などのサービスを提供する計画だ。Bluebirdの第2世代(Block 2)は6月に出荷され、インドの「GSLV」ロケットで打ち上げられる予定だ。

 Block 2は、2024年にSpace Exploration Technologies(SpaceX、スペースX)の「Falcon 9」(ファルコン9)ロケットで打ち上げられた第1世代(Block 1)の3倍のサイズを誇り、1回のミッションで3~8機のBlock 2が同時に投入される。Block 2には独自開発のチップが搭載され、Block 1の10倍となる最大120Mbpsのピークデータレートをサポートする。

 米メディアSpaceNewsによると、決算発表会で同社の創業者で最高経営責任者(CEO)のAbel Avellan(アベル・アヴェラン)氏は、GSLVによる打ち上げ以降も、ロケットに応じて3~8機のBlock 2を打ち上げる予定と説明する。

 Avellan氏は以前に、インドでの最初の打ち上げに続いてFalcon 9で2回打ち上げられる可能性があり、その後はBlue Origin(ブルーオリジン)の「New Glenn」(ニューグレン)ロケットが使用されるだろうとの考えを明らかにしている。New Glennの大型フェアリングには、1回の打ち上げで最大8機のBlock 2を搭載できる。

 AST SpaceMobileによる衛星通信サービスは、25機のBlueBirdで米国内で断続的に開始可能で、米国・欧州・日本のカバレッジ構築には45〜60機が必要だ。AST SpaceMobileの最高戦略責任者(CSO)であるScott Wisniewski(スコット・ウィスニエフスキ)氏は「初期の打ち上げでは衛星のフルキャパシティではない」としつつ、「可能な限り早く20機の衛星を軌道に投入したい」と述べている。

(出典:AST SpaceMobile)
(出典:AST SpaceMobile)

関連情報
AST SpaceMobileプレスリリース
SpaceNews

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