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中国、ロケット「長征」の再使用可や燃料無毒化を計画

2022.08.31 11:57

塚本直樹

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 中国が「長征」ロケットの再使用可や燃料の無毒化といった大幅な改良と変更を計画していることを、中国の宇宙業界紙「中国宇宙報」が現地時間8月24日に報じた

 長征は中国の主力ロケットで、さまざまなサイズの構成により人工衛星から宇宙ステーション、さらには宇宙飛行士の打ち上げまで利用されている。

 報道によれば、中国航天科技集団(China Aerospace Science and Technology Corporation:CASC)とその子会社となる上海航天技術研究院(Shanghai Academy of Spaceflight Technology:SAST)が、長征の改良を検討しているという。

 例えば、「長征2号」では燃料に四酸化二窒素と非対称ジメチルヒドラジンが利用されており、これは非常に有害かつ腐食性が高く、打ち上げの準備や使用済みブースターの回収にあたり、高いリスクとコストが存在する。

 そこでCASCは現在、長征のロケット燃料にケロシンと液体酸素を利用することを検討しているという。

 長征2号では、ロケットに落下時の姿勢制御に利用される「グリッドフィン」を装着することで、再使用に向けた試みが始まっている。SASTは、ロケットの「長征8号」や「長征9号」の再使用型にも取り組んでいることが報じられている。

 ロケットを回収し再使用できるようになれば、打ち上げコストが下がるだけでなく、落下地点の住民への被害を防ぐこともできる。

(出典:SAST)
(出典:SAST)

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