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米英軍、超音速技術開発でロケットラボを選定–弾道飛行版「エレクトロン」を活用
Rocket Lab(ロケットラボ)は米国時間4月14日、超音速技術の開発を目的とした数十億ドル規模のプログラムで米英の両方の軍に選ばれたと発表した。
この選定により、Rocket Labは両国のプログラムに対して自社の準軌道(サブオービタル)ロケット「HASTE(Hypersonic Accelerator Suborbital Test Electron)」(ヘイスト)で超音速技術試験の契約に参加できるようになる。
HASTEは同社の主力の軌道ロケット「Electron」(エレクトロン)を改造したもので、これまで3回打ち上げられている。今後もいくつかのミッションが予定されており、米軍向けの技術試験も行われる予定だ。
米軍のプログラムは空軍が主導する「エンタープライズ全域アジャイル契約(Enterprise-Wide Agile Acquisition Contract:EWAAC)」に参加する企業としてRocket Labが選ばれた。EWAACは、空軍の新たな能力開発につながる革新的な技術、エンジニアリングサービスなどを目的として設計された総額460億ドル(約6兆5700億円)の無期限納入・無期限数量(IDIQ)契約。
英軍のプログラムは国防省による「極超音速技術&能力開発フレームワーク(Hypersonic Technologies & Capability Development Framework)」で予算は10億ポンド(約1900億円)規模となっている。
Rocket Lab 最高経営責任者(CEO)であるPeter Beck(ピーター・ベック)氏は、「世界的な技術進展のスピードに対応するためには、より低コストで高頻度の試験が求められる。HASTEはそのニーズに応える商業ベースのプラットフォームとして、米英両国の任務をサポートする」と述べている。
HASTEに搭載できる貨物(ペイロード)の質量は700kg。ペイロードの分離速度は時速1万800~2万7000km、分離高度は80km以上。
サブオービタル(「弾道飛行」とも言われる)ロケットは、打ち上げ後に高度100km程度の宇宙空間に到達するものの、地球の周回軌道には入らずに、そのまま地上へ帰還するロケットを指す。
Rocket Labは2023年6月にHASTEの打ち上げに成功している。 HASTEの運用は、2022年12月に設立された、米国の防衛や情報機関といった国家安全保障市場に特化したサービスを提供する子会社「Rocket Lab National Security(RLNS)」が担う。
