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ispace米法人と米企業、「放射性同位体」電源の月面ミッションへの統合を共同で検討
2025.04.11 17:00
ispace(東京都中央区)の米法人ispace technologies U.S(ispace-US)は米Zeno Power Systemsと提携して、月探査で「月の夜を生き延びる」(越夜)ための技術を共同で開発する。
米コロラド州コロラドスプリングスで開催されている米国最大規模の宇宙カンファレンス「Space Symposium」で提携した。ispaceが4月11日に発表した。両社は月面での実証ミッションを早ければ2027年に実施することを目指す。
月は温度が-173度まで下がり、約2週間太陽光が届かない。太陽光発電だけでの長期間の運用は困難とされている。米航空宇宙局(NASA)は越夜克服を月面での持続可能なプレゼンスを築くための最も重要な技術的課題と位置付けている。
ispace-USとZeno Powerは覚書を締結、Zeno Powerの放射性同位体電源(Radioisotope Power System:RPS)を将来の月面ミッションに統合することを共同で検討する。太陽光パネルとバッテリーによる電力供給とは異なり、RPSは太陽光の有無に関係なく、連続的かつ信頼性の高い熱制御と電力供給ができるため、越夜機能を実現する上で理想的な技術と説明する。
Zeno Powerは2018年設立。ワシントンD.C.とワシントン州シアトルに拠点がある同社は商業用のRPSを開発している。コンパクトなデバイスで深海から深宇宙まで最も過酷かつ遠隔の環境で継続的にエネルギーを供給できるという。現在、NASAと国防総省と総額6000万ドル相当の契約を締結しており、2026年までに顧客向けに初期のRPSを実証する予定としている。
日本本社ispaceは、欧州法人を通じて英レスター大学と、日本本社が開発している着陸船(ランダー)と探査車(ローバー)の拡張機能として放射性同位体電源のユニットを搭載して越夜に挑戦するためのコンサルティング契約を2024年5月に締結した。

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ispaceプレスリリース