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将来宇宙輸送システム、米ウルサメジャーからエンジンを追加調達–エンジン開発を共同で検討
2025.04.10 16:00
将来宇宙輸送システム(Innovative Space Carrier:ISC、東京都中央区)は米ロケットエンジン開発企業であるUrsa Major Technologiesからロケットエンジンを追加で調達、将来的なエンジン開発を共同で検討する。4月9日に発表した。
米コロラド州バーサウドに本社があるUrsa Majorはロケットエンジンを開発、販売。Ursa Majorが製造、販売するロケットエンジン「Hadley(ハドレー)」をISCが購入、これを皮切りに再使用型ロケットの開発に向けた協業を進めてきた。
ロケットエンジンは、ミサイル技術管理レジーム(Missile Technology Control Regime:MTCR)のカテゴリー1に該当することから米国製ロケットエンジンは「国際武器取引規則」(International Traffic in Arms Regulations:ITAR)などに基づいて原則として米国外への持ち出しが禁止されている。
ISCは米国に100%子会社Sirius Technologiesを設立、同社が管理して米国内で飛行実証する計画を具体化させ、一定の範囲内で技術情報をやり取りできる技術援助協定(Technical Assistance Agreement:TAA)の締結を米国務省に申請、1月に承認を受け取っている。日本企業が米国製ロケットエンジンを米国で飛行実証するのは初の試みになる予定と説明している。
今回の合意で、実証時の不測の事態に備えた予備用エンジンなどの将来的な需要を見据えた調達が可能になる。ISCは、再使用型ロケット「ASCA 1」シリーズの最初のバージョンとなる「ASCA 1.0」の飛行実証を2025年内に行うことを目標に開発を進めていくとしている。
ISCは、Ursa Majorが開発するロケットエンジン「Arroway(アロウェー)」を使ったロケットシステムの開発を共同で検討する。
Arrowayは、液体メタンを燃料にした2段燃焼サイクルによる高性能エンジンとして設計しているロケットエンジン。2段燃焼サイクルは複雑で高度な開発が要求されるが、極めて高い推進効率を実現できると説明。Space Exploration Technologies(SpaceX)など一部の米スタートアップが実用化している技術だが、日本国内ではまだ実用例がないという。
Ursa Majorはこうした複雑で高度な開発を実現するために、米オハイオ州の研究開発施設で金属3Dプリンターを活用したロケットエンジン開発に取り組んでいるという。ISCも金属3Dプリンターによるロケットエンジン開発に着手。今後両社の連携を通じて技術力を向上させていくことを検討している。
