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ウルサメジャー、中型ロケットエンジンをミサイル防衛に適用へ–米国版「アイアンドーム」に活用

2025.02.18 14:57

塚本直樹田中好伸(編集部)

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 ロケットエンジンを開発する米Ursa Major(ウルサメジャー)は米国防総省や軍事請負業者と協力し、トランプ政権によるミサイル防衛構想「Iron Dome」(アイアンドーム)への次世代ミサイルの適応を目指している。

 Ursa Majorは2024年、米空軍の資金援助を受けて開発した液体燃料ロケットエンジン「Draper」の地上試験を完了した。同社は飛行試験を計画しており、軍事用途だけでなく、軌道上での補助推進装置となる宇宙タグや宇宙輸送などへの商業用途も計画している。

 国防総省はミサイル防衛システムを推進しており、特にIron Domeでは、地上と宇宙の両方から遊撃可能なミサイルが求められおり、そのための優れた推進技術が不可欠だと指摘されている。

 Draperは個体ロケットモーターやスクラムジェット(空気呼吸式エンジン)に変わる液体燃料推進技術として設計されており、従来よりも柔軟性の高い運用が可能という。エンジンはケロシンと過酸化水素を燃料とする非極低温エンジンで、液体酸素(LOX)を用いるエンジンと比べて保管が容易という利点がある。

 海外メディアのSpaceNewsによると、国防総省が考えるIron Dome構想は「ブースト段階迎撃が可能な宇宙配備型迎撃ミサイルの大量配備」を考えている。ブースト段階、つまりミサイルの飛行初期段階でエンジンがまだ燃えているときに飛来するミサイルを迎撃し破壊するために、地球周回軌道上に大量のこうした兵器を配備することを意味する。

 Ursa Majorで最高製品責任者(CPO)を務めるChristopher Spagnoletti氏は、推力4000ポンド(約1.8トン)のDraperエンジンは、宇宙配備型遊撃ミサイルに適しており、大気圏内と大気圏外(宇宙空間)の両方で使用可能とSpaceNewsに述べている。

地上試験が完了したというDraper(出典:Ursa Major)
地上試験が完了したというDraper(出典:Ursa Major)

関連情報
Ursa Majorプレスリリース
SpaceNews

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