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月クレーターの内部、ディープラーニングで解明目指す–月探査の効率向上に期待

2022.08.29 16:36

塚本直樹

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 米航空宇宙局(NASA)の研究者チームは深層学習(ディープラーニング)技術を活用して月の影となる極域にあるクレーターの内部を解明する技術を発表した。

 月の極域のクレーター内部には、水の氷が存在することが確認されている。2025年に実施されるNASAの有人月探査ミッション「Artemis III」では宇宙飛行士が月の極域に降り立ち、探査する予定だ。

 NASAの開発した技術は、月探査機「Lunar Reconnaissance Orbiter(LRO)」の狭角カメラで撮影された画像から、周囲の山やクレーターの壁によって反射した光子を検出するというものだ。新しいディープラーニング処理で「高感度、高解像度の画像」が得られ、将来の月探査機のミッション効率を高められるとしている。

 NASAのJohnson Space Center(ジョンソン宇宙センター)で月科学探査センターの主任研究員をつとめるDavid Kring氏は「永久影の領域への可視ルートが計画できるようになり、Artemisにおける宇宙飛行士やロボット探査機のリスクが大幅に軽減できる」と語っている。

 Artemisの初期ミッションでは、宇宙飛行士が月のクレーターに滞在できるのは2〜3時間となる予定だ。この新しい技術で得られた画像は、宇宙飛行士や探査機が最も有望なサンプルを見つけるのに役立つと期待される。

Artemis IIIの着陸候補地は月の南極付近にあるクレーター「シャクルトン」にある(出典:ETHZ\LPI\Valentin T. Bickel and David A. Kring)
Artemis IIIの着陸候補地は月の南極付近にあるクレーター「シャクルトン」にある(出典:ETHZ\LPI\Valentin T. Bickel and David A. Kring)

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