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アジア最大級の展示会–「SPACE WEEK」を開催する三井不動産の狙い

2021.12.16 14:57

田中好伸(編集部)

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 三井不動産は12月14~17日、東京都中央区日本橋で宇宙ビジネスイベント「NIHONBASHI SPACE WEEK 2021」を開催。初の開催であり、アジア最大級をうたっている。

 今回のNIHONBASHI SPACE WEEK 2021では、宇宙ビジネスに関連する20以上の企業や団体が参加するアジア最大級という展示会「TOKYO SPACE BUSINESS EXHIBITION 2021」、若いイノベーターを表彰する「Innovators Under 35 Japan 2021」、宇宙を活用したビジネスアイデアコンテスト「S-Booster2021」(内閣府主催)といったイベントも開催。アジア最大級というビジネスカンファレンス「SPACETIDE 2021 Winter in Nihonbashi」も同地区、同時期に開催している。

三井不動産 取締役 専務執行役員 植田俊氏
三井不動産 取締役 専務執行役員 植田俊氏

 展示会TOKYO SPACE BUSINESS EXHIBITION 2021のオープニングセレモニーに登壇した主催者である三井不動産 取締役 専務執行役員 植田俊氏は、日本橋という地域について「江戸幕府開府で五街道の起点となった、日本の中心地」であり「老舗がそろっていた」と説明した。

 バブル崩壊後にかつてのにぎわいを取り戻すための街づくりとして、三井不動産が主軸となって「日本橋再生計画」を開始(同社を含む三井グループの源流である「三井越後屋呉服店」は日本橋で誕生)。この日本橋再生計画には、産業創造も含まれている。

 「日本橋はもともと薬種問屋が多く、現在も(医薬品などを含む)ライフサイエンス企業の本社が集積している。リアルな交流を生み出す動きを加速させてオープンイノベーションを創出するために一般社団法人LINK-J(ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン)を立ち上げた」(植田氏)

 ライフサイエンス企業に続けて取り組んだのが、宇宙ビジネスになる。「宇宙ビジネスの拡大」と「地上のイノベーション創出」を目指すプロジェクトとして「X-NIHONBASHI」を立ち上げ。2018年には、国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)をはじめとする宇宙ビジネスに関連する組織や企業のオフィスなどに活用できる“宇宙ビジネス拠点”のX-NIHONBASHIを開設。2020年12月には規模と機能を増強した「X-NIHONBASHI TOWER」を新設した。

 「日本橋は宇宙商社のSpace BDが本社を構えるなど宇宙プレーヤー20社以上の拠点となっている」(植田氏)

 日本橋再生計画の一環である産業創造では、企業や組織にとっての機会づくりとしてマッチングプロジェクトも進められている。「NASA(米航空宇宙局)のマッチングプロジェクトが進められていて、2022年には欧州の宇宙機関とのマッチングも予定されている。今回の展示会も機会づくりとして進めてきた」(植田氏)

 「宇宙には夢がある」というイメージを持たれているが、植田氏は「宇宙は夢ではない」と説明した。19世紀のフランスの作家であるJules Verneの有名な言葉「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」を引用して「宇宙はVerneの言葉を体現できる産業領域」であると主張した。

 「五街道に続く、宇宙につながる六つ目の街道を作っていくという志をもって取り組みを進めていく」(植田氏)

JAXA 理事 石井康夫氏
JAXA 理事 石井康夫氏

 三井不動産の植田氏に続いて登壇したJAXA 理事 石井康夫氏は「X-NIHONBASHIがきっかけで三井不動産と協力を開始した。今回の展示会やSPACE WEEKにも協力、支援している」とあいさつした。

 「宇宙ビジネスの変化するスピードが加速している中で宇宙に関連した企業や団体が参加している今回のイベントは時宜を得たイベント。新しい出会いや化学変化が期待できる。宇宙ビジネスが変化することを期待したい。2020年も続くことを祈念している」(石井氏)

 展示会の出展者としてSpace BD 代表取締役社長 永崎将利氏とアストロスケールホールディングスの創業者で最高経営責任者(CEO)の岡田光信氏があいさつした。

 スタートからX-NIHONBASHIに本社を構えているSpace BDの永崎氏は「日本橋は宇宙ビジネスの一大拠点」と表現した後に同社の独自性を解説した。

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