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アジア最大級の展示会–「SPACE WEEK」を開催する三井不動産の狙い

2021.12.16 14:57

田中好伸(編集部)

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 「打ち上げサービスに取り組んでおり、グローバルで受注を重ねていて、人工衛星50基を数えている。宇宙の新しい利活用として、ISS(国際宇宙ステーション)の実験棟「きぼう」を使った記念品ビジネス、宇宙に持っていったサンプルを地球に戻すといったことも手掛けている」(永崎氏)

Space BD 代表取締役社長 永崎将利氏
Space BD 代表取締役社長 永崎将利氏

 同社は2017年に設立、「会社を作って5年目になるが、やればやるほど宇宙ビジネスの可能性を感じている。一方で宇宙をビジネスとして捉えるには予見性が低い。1社でできることは小さいが、いろんな企業が強みを持つことで重複する努力を排除できたり協調したりできる」と永崎氏は今回のSPACE WEEKの意義を強調した。

 宇宙空間に漂うゴミ、スペースデブリを除去するなどのビジネスを展開しているアストロスケールの岡田氏は、今回のイベントについて「“ビジネス”という単語が入っていることがとても重要」と主張した。「宇宙ビジネスには、ロケットや人工衛星、人工衛星のデータ利用などいろんなセクターが含まれている。2020年代になってさまざまなプレーヤーがいる」宇宙というセクターを体現しているのが今回のイベントであると説明した。

アストロスケールホールディングス CEO 岡田光信氏
アストロスケールホールディングス CEO 岡田光信氏

 もともとは宇宙ビジネスとは関係ないところにいたという岡田氏は、宇宙ビジネスに参入する前に日本の宇宙開発の歴史を学んだという。

 「1955年にペンシルロケットが打ち上がり、1970年には日本初の人工衛星“おおすみ”が打ち上がった。おおすみは世界で4番目の人工衛星であり、打ち上げたのは日本自前のロケット。コンピューターもExcelもない時代に15年で打ち上げた日本はすごい。(われわれも)速いスピードで頑張らないといけない」(岡田氏)

 アストロスケールではスペースデブリ除去のほかに宇宙空間での燃料補給も含めた軌道上サービスを開発しており、岡田氏は「高速道路のJAFのような存在を目指している」と説明した。

JAXA 宇宙飛行士 野口聡一氏
JAXA 宇宙飛行士 野口聡一氏

 オープニングセレモニーには、ゲストとしてJAXAの宇宙飛行士である野口聡一氏もあいさつした。野口氏は2021年という時代について「世界的に民間宇宙ビジネスの花が開いた」と表現。SpaceXの「Crew Dragon」やBlue Originの「New Shepard」が相次いで宇宙飛行に成功していることに触れながら「(野口氏のようなプロの宇宙飛行士ではなく)民間人だけの飛行が成功している」という2021年の特長を解説した。

 民間人の宇宙飛行と言えば、12月9日に日本人の前澤友作氏と平野陽三氏がISSへの滞在を開始した。「平野君は長い訓練なしに宇宙に打ち上がった。普通の人が宇宙に行くという画期的な出来事」と説明した。

 野口氏は「人と人のつながりが重要。産官学が結集して宇宙ビジネスシーンを盛り上げていきたい」とSPACE WEEKの意義を強調した。

 展示会のTOKYO SPACE BUSINESS EXHIBITION 2021には、宇宙スタートアップ企業を中心に自治体、学術中心の事業協同組合やJAXAなど、以下のような企業や団体が出展している。

シスコシステムズ

2019年11月~2020年10月にX-NIHONBASHIに開設したイノベーションハブで新しい都市体験を提供するサービスをデザインするコンテスト「Tokyo Moonshot Challenge」を開催。ブースでは、受賞チームであるamulapo(2020年2月設立、東京都新宿区、田中克明代表取締役)と一緒に取り組み内容を展示している

ispace
「Expand our planet. Expand our future.~人類の生活圏を宇宙に広げ持続性のある世界へ」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組む宇宙スタートアップ。月への高頻度かつ低コストの輸送サービス提供を目的とした月着陸船と月面探査車を開発し、ベイロード、データ、パートナーシップサービスを展開している

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