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Ridge-i、JAXAとの地球デジタルツイン研究でAIを実証–生成AIを活用
2025.03.24 15:30
Ridge-i(東京都千代田区)は3月24日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と地球デジタルツイン研究に向けたAI(人工知能)を実証したことを発表した。
JAXAは衛星地球観測コンソーシアム(CONSEO)の提言書に基づいてデジタルやグリーン分野と衛星観測の融合を目指して、地球デジタルツイン構想を研究している。デジタルツインとして必要なAIの今後の研究計画を検討するとともに試作するプロジェクト「地球デジタルツイン研究に向けたAIの予備検討」について2023年11月の一般競走入札でRidge-iが採択された。
Ridge-iは同プロジェクトの仕様に基づいて、災害対策や農林水産業での衛星データ利用を想定した対話型AI形式のプロトタイプを作成。作成したプロトタイプは、ユーザーが入力した地球環境の質問文について適切な外部データを呼び出し、その外部データを解釈し、ユーザーに回答するというもの。
生成AIには「GPT-3.5」「GPT-4」を活用。外部データとしては「JAXA Earth API」「Google Earth Engine API」に加えて、JAXAの「Earth-graphy」「サテナビ」などの衛星データプラットフォームと接続している。
JAXA Earth APIでは、例えば「2020年1月1日の関東の地表面温度の最大値を教えて」と質問すると、「2020年1月1日の関東地方(東京を含む)の地表面温度の最大値は、約12.8度です。GCOM-C衛星のSecond-generation imager(SGLI)によってキャプチャされた地表面温度(LST)データを解析した結果、関東地方の最高気温は約12.8度であることがわかりました」と回答する。

Google Earth Engine APIでは、例えば「2020年1月のシンガポール海域付近の様子は?」と入力すると、「2020年1月のシンガポール海域付近の様子を見せることができます。以下は、シンガポール海域付近の位置に撮影された衛星画像です」と回答する。

Ridge-iは、JAXAが研究する地球デジタルツイン構想を支援するために独自に提唱する「AI on TOP」という考え方に基づいて技術研究基盤を開発している。
AI on TOPでは、大規模言語モデル(Large Language Models:LLM)をインターフェースとして対話型のツールを提供し、衛星解析技術に詳しくなくても、誰でも簡単に衛星データの入手と解析ができるものを目指している。JAXAの地球デジタルツインでは、外部のデータベースやデータレイク、処理エンジンに接続できるAI on TOP基盤を構築する。
AI on TOP基盤は、プランニング機能、データインターフェース、インターフェース、処理エンジンインターフェース、解釈機能、提案機能の6つのコンポーネントを用意し、ユーザーとデータや処理エンジンをシームレスにつなぐことが可能と説明する。
AI on TOPの成長では、まずマクロデータや処理エンジンと提案型アウトプットで特定領域での衛星データ活用活性化を目指す。その後、順次領域を広げる活動を進め、領域間の連携、消費者の衛星データの活用を目指す。