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Ridge-i、「地球デジタルツイン」研究でAIを予備検討–JAXA採択

2023.11.17 08:00

飯塚直

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 Ridge-i(東京都千代田区)は11月16日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が一般競争入札を実施した「地球デジタルツイン研究に向けたAIの予備検討」に採択されたと発表した。

 Ridge-iは、機械学習の手法である深層学習をベースにした人工知能(AI)技術が強みと説明。特に、画像解析ディープラーニング、センサーによる異常検知AI、最適化AIなど、さまざまなデータに対応するAIを組み合わせた「マルチモーダルAI」に強みを持つ。

 社会課題にも積極的に取り組んでおり、自然環境も含めた“持続可能な開発目標(SDGs)”の課題に関連して、合成開口レーダー(SAR)衛星で取得したデータを活用して、地球上のどこに変化があったのかを視覚的に確認するサービス「GRASP EARTH」など提供している。

 JAXAは「衛星地球観測コンソーシアム」(Consortium for Satellite Earth Observation:CONSEO)提言書(PDF)に基づき、デジタルやグリーン分野と衛星観測の融合を目指し、地球デジタルツイン構想を研究中だという。デジタルツインとして必要なAIについて今後の研究計画を検討、試作するため、今回の「地球デジタルツイン研究に向けたAIの予備検討」の一般競争入札を実施した。

 デジタルツインは、現実の世界から収集した、さまざまなデータをコンピューターで再現する技術。現実に基づくデータであることから、限りなく現実に近い物理的なシミュレーションできると期待されている。

 Ridge-iは、入札の仕様に基づき、2024年3月までに農林水産業など衛星データの利用分野で将来の対話型AIを想定。「GPT(Generative Pretrained Transformer、自然文を生成できる言語モデル)やLLM(Large Language Model、大規模言語モデル)などの生成AIに代表される先進的なAI技術」「TellusやJAXA APIなど、公開されている衛星データプラットフォームとの接続」といった技術を組み込んだユースケースを検討し、試作するとしている。

 CONSEOは、地球観測衛星開発や衛星データ利用事業を手掛けるメーカーやベンチャー、地球科学・衛星技術などの研究者、学会や研究機関、行政機関などで構成される。

 産学官が集まることで日本の衛星地球観測分野での総合的な戦略提言をまとめ、宇宙基本計画や工程表の政策議論へ貢献すること、日本の地球観測に基づく地球科学の強みを伸ばし、世界との協調による気候変動対策を先導することなどを目指している。

関連リンク
Ridge-iプレスリリース(PDF)
衛星地球観測コンソーシアム(CONSEO)
CONSEO提言「衛星地球観測の全体戦略に関する考え方」(PDF)

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