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INDUSTRIAL-X、衛星のアーキテクチャ標準化と開発プロセス改革の実現可能性を調査

2025.03.10 17:00

UchuBizスタッフ

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 INDUSTRIAL-X(東京都港区)は、衛星のアーキテクチャ標準化と開発プロセスの標準化と効率化の基本方針を確立させることを目的に、デジタルトランスフォーメーション(DX)の視点を踏まえた標準化と開発プロセス改革の実現可能性を調査、検討する。3月10日に発表した。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「宇宙戦略基金」のテーマである「衛星サプライチェーン構築のための衛星部品・コンポーネントの開発・実証」のうちの「衛星サプライチェーンの構築・革新のための横断的な仕組みの整備に向けたFS(フィージビリティスタディ)」の実施機関として2月28日に採択された。三菱電機やNECと連携して進める。期間は2026年3月末まで。

 日本での従来の衛星開発は、ミッション要求に対する高い信頼性と長寿命化を達成するため、衛星プログラムごとに個別最適化されており、異なるプログラム間での標準化が図られていなかったと同社は説明。また、各社の技術力や強みを生かしたコアコンピタンス領域の追求、部品やコンポーネントの長納期化、高コスト体質が課題として残っていると同社は指摘している。

 INDUSTRIAL-Xは、これまで、会社ごと、部門ごとに個別最適化されていた事業を構成する各種プロセスからのデータを集約し、企業や組織全体をカバーする事業変革プラットフォーム構築を支援してきており、20以上の業界や業種のデジタルプラットフォーム構築に携わってきた実績があると説明。これをもとに、建設業や製造業、農業などの業界で共同利用可能なデータプラットフォームを構築し、日本の産業構造変革に取り組んできたとしている。

 そうした産業の構造変革やデジタルの力を通じて推進してきたノウハウ、ナレッジを生かして、宇宙産業にも新たな変革をもたらすという「スペース・ツイン」構想を掲げている。

 同社は日本の宇宙産業について、スタートアップが続出し、産業として年々大きくなっていると表現。今後、成長が加速する宇宙産業でも、衛星メーカー企業間でも、衛星アーキテクチャを共有し、開発プロセスの標準化を検討する。開発の低コスト化、短縮化させることで、次世代の衛星開発における日本の優位性確保を目指すとしている。

 同様の取り組みは、米仏でも進められている。衛星開発での日本の優位性確保は必要不可欠と指摘する。プロジェクト終了後には、衛星開発メーカーだけではなく、非宇宙分野の製造業や金属加工業などが参画することで、衛星サプライチェーンの競争力が強化されると説明。地上のあらゆる産業と宇宙産業が共同のプラットフォームを構築することで日本の産業構造変革を目指すとしている。

日本が目指すべき将来の姿(出典:INDUSTRIAL-X)
日本が目指すべき将来の姿(出典:INDUSTRIAL-X)

関連情報
INDUSTRIAL-Xプレスリリース(PR TIMES)

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