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NASAの月探査機「ルナ・トレイルブレイザー」、電力不足と制御不能に苦しむ
米航空宇宙局(NASA)の月探査機「Lunar Trailblazer」との通信が途切れて、1週間以上が経過した。
米国時間2月26日に米Space Exploration Technologies(SpaceX、スペースX)の「Falcon 9」ロケットで打ち上げられた(米Intuitive Machinesの月着陸船「Athena」と相乗り)Lunar Trailblazerは、高解像度揮発性・鉱物マッピング装置「High-resolution Volatiles and Minerals Moon Mapper(HVM3)」や月面熱マッピング装置「Lunar Thermal Mapper(LTM)」という2つの観測機器を搭載しており、さまざまな形の水の分布をマッピングする。
月に水が存在することは知られているが、その形態や存在量、分布についてはほとんど知られていない。異なる形の水がどこに存在するのか、月表面の熱的特性がそれらの分布にどのように影響するのか、そして異なる形の水が時間とともにどのように変化するのかなどを調べる。
Lunar Trailblazerは打ち上げ後、米太平洋時間2月26日午後5時13分に地上との通信を確立。その後、断続的な電力システムの問題を示すテレメトリーを送信。打ち上げ翌日、2月27日午前4時30分頃に通信が途絶してしまった。
宇宙空間において電力が不足していると考えられ、状況はさらに悪化している。NASAと米カリフォルニア工科大学(Caltech)が主導する地上管制チームは、過去1週間、通信の回復を試みてきたが、依然として連絡が取れない状態だ。
「通信喪失前のテレメトリーデータと、3月2日に取得された地上レーダーデータによれば、低電力状態でゆっくりと回転していると考えられる」とNASAは述べている。「探査機の向きが変わり、太陽電池パネルがより多くの太陽光を受けられるようになれば、発電量が増加し、状況が改善するかもしれない」

関連情報
NASA説明(3月4日)
NASA説明(2月27日)
Lunar Trailblazerミッション概要
Space.com