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「バーチャルISS」にロボットの動作を再現、実際の動作と比較–スペースデータとKDDI

2025.03.03 16:53

UchuBizスタッフ

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 スペースデータ(東京都港区)とKDDIは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と連携して開発したバーチャル国際宇宙ステーション(バーチャルISS)内でロボットを動作させる実証を5~10月に進める。3月3日に発表した。

 実証に向けて日本実験棟(JEM)「きぼう」で稼働するカメラロボット「JEM自律移動型船内カメラ」2号機(Int-Ball2)を操作するコマンドでバーチャルISS内のロボットを動作させる技術を開発。実証では、バーチャルISS内にロボットの動作を再現し、実際のISS内のロボットを同様のコマンドで操作した際の動作と比較する。

 スペースデータとKDDIは実証を通じて、実際のISS内のロボットから取得した映像や重力などの物理環境データをもとに、今回開発した技術の精度とバーチャルISSの再現率向上を図る。ISSなどの宇宙機やロボットの設計や開発の段階でバーチャルISSの多角的な検証が可能になるという。

 今後、開発コストの大幅な削減とロボットを活用したISS運用の効率化の実現を目指す。今回の実証は、JAXAのきぼう有償利用制度を活用している。

実証イメージ(出典:KDDI)
実証イメージ(出典:KDDI)

 KDDIは、宇宙を活用して地球上の課題解決を目指してスタートアップと大企業が共創するプログラム「MUGENLABO UNIVERSE」を2024年5月30日から開始。同プログラムを通じて、スペースデータが構築するシミュレーション環境の利用者拡大や計算リソースの提供、事業化に向けた経済的な支援などを実施している。

 今回の実証で高精度化したバーチャルISSは、MUGENLABO UNIVERSEを通じてスタートアップと大企業に提供して、各企業が開発するロボットや建築物などをデジタル上に実証できるよう支援する考え。将来的にはバーチャルISSを宇宙を体験するコンテンツに活用できるようなシステム構築を目指すとしている。

 3月3~6日にスペインのバルセロナで開催されるモバイル関連の展示会「MWC Barcelona 2025」でバーチャルISSが展示される。来場者にバーチャルISSを体験してもらうことで有用性を確認し、要望の高い機能の追加などを検討する。

 スペースデータは、デジタル技術を活用して宇宙をインターネットのように身近にし、誰もが宇宙開発に参加できる未来を目指して、宇宙をデジタル上に再現する取り組みを進めていると説明。バーチャルISSは、ISSの高精度の3次元空間情報と物理環境をデジタル上に再現している。

 ロボットや宇宙機の開発シミュレーション、宇宙飛行士の訓練、ISSの環境モニタリングなどの分野でバーチャルISSの活用が期待されていると説明。ゲームや教育での利用を想定して、世界最大というPCゲームプラットフォーム「Steam」から無料でダウンロードできる

実証のスケジュール(出典:KDDI)
実証のスケジュール(出典:KDDI)

関連情報
KDDIプレスリリース

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