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JAXAと電通の取り組みにスペースシフト参加–農作物の衛星データを解析
2022.08.22 17:18
衛星データ解析システムの開発を手がけるスペースシフト(東京都千代田区)は8月22日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と電通グループによる人工衛星データ活用による広告の高度化を通じた需要の創出と、需給の最適化の実現に向けた共創活動に参画すると発表した。
JAXAと電通グループは「JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)」のもと、人工衛星データ活用による広告の高度化を通じた需要の創出と、需給の最適化の実現に向けた共創活動について、7月1日から開始している。
人工衛星データは、これまでも農業分野で農作物の収量増大や収穫時期予測に活用されてきたが、天候の影響によりデータが欠損し、解析が困難になるといった課題がある。
今回の取り組みでは、課題解決に向けた技術研究を進めるとともに、それらの情報を農作物や関連商品の販売時期にあわせた広告出稿のタイミングの調整に用いることなどを通じ、販売広告施策にリアルタイムに反映させることで積極的な需要創出と需給の最適化の実現を目指している。
スペースシフトは、今後増大する衛星データを企業や自治体などのエンドユーザーが効率的かつ、有効に利用できるようにするため、衛星データ処理技術に特化した開発を進めている。
特に、従来では解析が難しいとされてきた合成開口レーダー(SAR)衛星のデータ処理に注力し、人工知能(AI)を活用したSAR衛星データの自動解析を可能とするソフトウェアを開発している。
今回の取り組みでスペースシフトは、連携協力者として参画を決定。農作物の衛星データを解析する。農業分野でのSAR衛星データのAI解析の精度向上を図るとともに、さまざまな農作物に適用できる解析技術を開発、それに伴う新たな衛星データ活用のユースケース創出を目指す。
電通が開発した、テレビ広告の効果を向上させる基盤システム「RICH FLOW」にスペースシフトが独自に開発した衛星データ解析アルゴリズムを連携させることで、該当農作物を食材として用いる調味料商材の広告出稿の種類やタイミングを最適化。これにより、広告効果の向上だけでなく、旬な野菜の廃棄ロスを低減し、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」への貢献を目指すという。