NASA太陽探査機、人類未到の最高速度を更新--その時速は?

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NASA太陽探査機、クリスマスイブにスイングバイ–最高速度を更新へ

2024.12.13 16:06

塚本直樹田中好伸(編集部)

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 米航空宇宙局(NASA)の太陽探査機「Parker Solar Probe」がクリスマスイブに予定している太陽を利用したスイングバイに向け、準備を進めている。

 Parker Solar Probeは2018年に打ち上げられた探査機で、太陽コロナの直接観測を目的としている。2023年には金星でのスイングバイで飛行速度が時速63万5266kmという驚異的なスピードに達した

 Parker Solar Probeは12月24日、太陽の表面から約610万km以内を時速約69万kmで急降下し、太陽へ向かう速度と最接近する距離において、自身の記録を更新することになる。太陽は10月に11年周期で最も活動が激しくなる「極大期」に入っており、同探査機は太陽フレアに関する詳細なデータを取得する予定だ。

 海外メディアのSpace.comによると、「Parker Solar Probeは、我々の太陽に関する新たな現実に目を開かせてくれる」と、ミッションのプロジェクト科学者であるNour Rawafi氏は述べている。「探査機から地球に送られたデータを整理するには、数十年かかるだろう」

 太陽に最接近するとき、探査機の熱シールドの前面は982度に達すると予想されている。運用チームは探査機と搭載されている観測機器は1371度までに対応できると確信しているという。

 太陽の表面温度は約6000度だが、太陽の大気であるコロナの温度は約100万度。Parker Solar Probeは、太陽の最大の謎とされている「なぜコロナは太陽そのものよりもかなり高温なのか?」の解明が期待されている。

(出典:NASA)
(出典:NASA)

【編集部注:12月13日18時30分】当初「太陽の表面から約610km」と記載しておりましたが、正しくは「太陽の表面から約610万km」となります。訂正してお詫びいたします。

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Parker Solar Probeミッション
Space.com

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