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磁気圏観測衛星「あけぼの」、大気圏に再突入–2015年4月に運用停止
2024.11.28 15:00
磁気圏観測衛星「あけぼの」が自然落下で日本時間11月26日午後1時48分頃に南米上空で大気圏に再突入した。宇宙科学研究所(ISAS)が11月27日に発表した。
あけぼのは、1989年2月に打ち上げられ、オーロラ電子の生成メカニズムやオーロラに関連する物理現象を解明することを目的に、オーロラ撮像カメラのほかに電場や磁場、プラズマ波動、プラズマを観測する9つの観測器を搭載。オーロラの分布が電離圏の状態にコントロールされて季節に依存すること、オーロラ電子が冬半球に偏って分布することなどオーロラ電子の加速メカニズムに迫る科学成果を上げたという。
11年の太陽活動周期を超える観測からヴァン・アレン帯などの内部磁気圏現象と太陽活動との関係を明らかにすることを目的に研究を進め、地磁気活動に応じてヴァン・アレン帯外帯の密度やエネルギーが激しく変動すること、太陽活動に応じてヴァン・アレン帯外帯が消長する様子も明らかにしている。
こうした数多くの科学成果の源となった、26年間というあけぼのの観測データは、太陽-地球系科学分野の研究に大きく貢献し、放射線帯観測で宇宙天気予報にも貢献するなど、生活を豊かにする上で重要な役割を果たしてきたと説明。運用中に取得された科学データは、「科学衛星データベース(Data ARchives and Transmission System:DARTS)」などから世界の研究者に公開され、太陽-地球系科学分野や宇宙天気予測などの研究に活用されているという。
あけぼのは、遠地点高度の低下に伴う観測機会の減少や衛星システム、観測機器の経年劣化に伴い、2015年4月に運用を停止。その後も地球の大気抵抗などで徐々に高度低下が続き、2024年11月26日に大気圏に再突入した。
ISASは、あけぼのについて運用期間を通じて、太陽-地球系科学分野の新しい地平を切り開く上で重要な役割を果たしたと解説。あけぼので培われた科学的な問題意識は、その後の小型高機能科学衛星「れいめい」やジオスペース探査衛星「あらせ」(Exploration of energization and Radiation in Geospace:ERG)にも引き継がれ、発展を続けていると評している。
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ISASプレスリリース