ニュース
さくらの人工衛星データプラットフォーム「Tellus」新版、検索して購入可能に
2021.11.09 14:43
宇宙産業全体のスパイラルに貢献
Tellusは、経済産業省の「政府衛星データのオープン&フリー化データ利活用促進事業」としてさくらインターネットが受託してサービスの開発と運用を進めてきた。2019年2月に提供が開始され、現在のアカウント登録数は2万4000を超えている。
Tellusでは、データそのもののほかに、データを分析するためのクラウドコンピューティング基盤、データを分析するためのデータ可視化環境である「Tellus OS」、データを分析するアプリケーションを開発するための統合開発環境(IDE)である「JupyterLab」が提供される。また、開発したアプリケーションやアルゴリズム、データ、APIを売買できる“マーケット”も利用できる。
衛星データに興味を持ってもらうための施策として、宇宙ビジネスを理解してもらうためのオウンドメディア「宙畑」、衛星データの基礎知識から解析手法までを学ぶためのラーニングイベント、アルゴリズムの精度を競うためのコンテストもTellus事業として運営されている。
記者会見に登壇したさくらインターネット 代表取締役社長 田中邦裕氏は「これまでの立ち上げでは、経済産業省から支援を得て進めてきた。今回は自主事業としてビジネスを立ち上げる」とし、こうした形態は珍しいという。
同社を含めた一般的なインターネットビジネスに触れて、「インターネットの場合、作り上げた後でユーザーからお金を継続的にいただく」が、Tellusの場合、作り上げてしまってから本格的なビジネスが始まることになるとして、同社がこれまで手掛けてきたものとは異なり、同社の経営陣を含めて関係者のマインドセットを変えるのに苦労したと明かした。
「Ver.3.0で完成ではなく、ここから価値を創造していく。もっとよくするために開発していくためのスタートになる」(田中氏)
衛星のデータを購入してもらうというビジネスはこれまでも存在していたが、田中氏は「インターネットの時代にふさわしく、データを探してちょっとだけ買って、ちょっとだけ活用する」ことが求められるとし、さらに「(買ってきた)データを活用してビジネスが成功すれば、そのデータを提供するプロバイダーのビジネスも成長する」ことがTellusというビジネスモデルを考えるに至った背景と解説した。
田中氏が解説するように、Tellusは同社にとってこれまでとは大きく異なるビジネスとなった。衛星のデータがどんなことに活用できるのか、どんな風に活用できるのか。そうした状況からTellusでは「顧客を開発する必要があった」とし、そのためにオウンドメディアやラーニングイベントといった仕組みを作る必要があったと説明した。
記者会見では、さくらインターネットに事業を委託した経済産業省から製造産業局長の藤木俊光氏も登壇。Tellusが「伸びることで宇宙産業全体のスパイラルに貢献できる」と期待を寄せている。