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さくらの人工衛星データプラットフォーム「Tellus」新版、検索して購入可能に

2021.11.09 14:43

田中好伸(編集部)

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 記者会見に登壇したJEOSS 代表取締役 堀内康男氏は「全世界で4万8000シーンを撮像できている」とASNARO-2の能力を説明。堀内氏は、衛星が撮影した「画像ビジネスは海外に比べてまだまだ遅れている」ことを強調。「まずは衛星の画像を知ってもらう」ために「衛星がもたらすデータのことを知ってもらいたい」と意気込みを語った。

JEOSS 代表取締役 堀内康男氏
JEOSS 代表取締役 堀内康男氏

 「(ASNARO-2のSARによる)レーダーは天候に関係なく撮像できる」(堀内氏)

 Tellus Satellite Data Travelerには、札幌や富山、名古屋、宇部、熊本、中津、鹿児島の7都市をASNARO-2で定期的に撮像した画像も提供される。提供されるデータは、ASNARO-2の分解能1mを生かして、大都市の市街地での都市計画やインフラ監視、中規模都市での市街地のほかに港湾や農地、山林などの周辺地域の土地利用状況、防災などにも利用できる。

「普及するには利用層の増加が必要」パスコ

 1953年に航空測量で事業を開始したパスコは、1989年にリモートセンシングソフト「ERDAS」の販売を開始、2005年に、XバンドのSAR衛星「TerraSAR-X」の撮影データの国内販売権を取得した。

 パスコが取り扱っているSAR衛星のデータは、SAR衛星としてTerraSAR-Xのほかに宇宙航空研究開発機構(JAXA)が運用している陸域観測技術衛星である「だいち2号」(ALOS-2)、TerraSAR-Xと連携する「TanDEM-X」がある。

 光学衛星としては、2014年に打ち上げられパスコが運用する「ASNARO-1」、先述のMaxarが運用するWorldView、フランスのAirbus Defence and Space(Airbus DS、旧Astrium)が運用する「Pléiades」2機、同じくAirbus DSが製造、打ち上げ、運用する「SPOT-6」「SPOT-7」のデータを取り扱う。光学衛星では、JAXAが運用する「だいち3号」(ALOS-3)の打ち上げが2021年度内に予定されている。ALOS-3は、観測幅70km、最大観測距離が4000kmと全世界の陸域を観測できるのが特徴と言われている。

 パスコが取り扱うSARデータは地盤沈下や山間部の地殻変動監視、地下工事や埋立地の変動監視に利用されている。光学データは森林の変化、海岸付近での藻場の判読、都市部での家屋の異動判読にも活用されている。

パスコ 衛星事業部 事業部長 古田城久氏
パスコ 衛星事業部 事業部長 古田城久氏

 記者会見に登壇したパスコ 衛星事業部 事業部長 古田城久氏は「衛星データが日本で普及するには、利用層の増加が必要」とし、「Tellusがこれまで衛星データと縁がないユーザーを獲得して、裾野を広げることを期待」すると期待を寄せた。

 「衛星データは単体だと満足してもらえない。ほかのデータと組み合わせることが重要」(古田氏)

 Tellus Satellite Data Travelerでは、衛星に搭載されるセンサーの種類や時刻、関心領域(Area of Interest:AOI)などを検索して購入できる。購入したデータはユーザーが選んだ環境に保存もできる。衛星データの価格帯は「数万~数十万円」(さくらインターネット 事業開発本部 クロスデータ事業部 部長)

 今回新しく加わったTellus Satellite Data Travelerでは、ユーザーからの要望に基づいて撮影することも将来的には可能になるという。対象となる衛星それぞれに観測計画があるが、ユーザーが指定した場所を撮影する数時間前までに要望を伝えれば、撮影できるようになると説明された。

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