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欧州、月探査を支援する「ムーンライト」始動–衛星5機で航法と通信をカバー
欧州宇宙機関(ESA)は現地時間10月15日、月探査を支援する「Moonlight Lunar Communications and Navigation Services(LCNS)」プログラムの開始を発表した。イタリア・ミラノで10月14~18日に開催された、75回目となる国際宇宙会議「International Astronautical Congress(IAC) 2024」で調印式が開かれた。
Moonlightは月を周回する5機の衛星で構成されるコンステレーション。うち4機は航法(ナビゲーション)用、1機は高速通信用。地球と月との間における高速通信とデータ転送を実現し、正確で自律的な宇宙船の着陸と移動が可能になるという。3つの専用地上局が送受信する。
Moonlightはまず、英Surrey Satellite Technology Ltd(SSTL)が製造する通信中継衛星「Lunar Pathfinder」を2026年に打ち上げる。Moonlightの初期サービスは2028年末までに開始される予定で、完全な運用は2030年までに始まる。
「Moonlight協定は、月面と月周回軌道における将来の運行システムの基盤となるものだ」と、ESAでナビゲーション部門のディレクターを務めるJavier Benedicto氏は海外メディアのSpace.comにコメントしている。
ESAは米航空宇宙局(ESA)や宇宙航空研究開発機構(JAXA)と協力し、月での通信や測位のインフラや規格を検討、構築する国際標準フレームワーク「LunaNet」の開発にも取り組む。
Moonlightは英宇宙庁(UKSA)やイタリア宇宙庁(Agenzia Spaziale Italiana:ASI、Italian Space Agency:ISA)が協力。宇宙システム開発会社のイタリアTelespazioなどの企業も協力する。