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米ファイアフライ、初の月着陸船「ブルーゴースト」を環境試験–10~12月に打ち上げ
米Firefly Aerospaceは米国時間8月26日、同社にとって初となる月着陸船(ランダー)「Blue Ghost」の年後半の打ち上げに向け、環境テストを開始したと発表した。
Blue Ghostは、観測機器などの貨物(ペイロード)の月への輸送を米航空宇宙局(NASA)が民間企業に有償で委託する「商業月面輸送サービス(Commercial Lunar Payload Services:CLPS)」の一環として、月着陸を試みる3番目の企業となる予定。Blue Ghostは10個の観測機器や技術実証などのペイロードを搭載し、月の北東にある「危難の海(Mare Crisium)」に着陸する予定だ。
Fireflyによれば、Blue GhostはNASAのジェット推進研究所(JPL)で振動、音響、熱真空、電磁干渉、互換性といった試験を受けているという。これは、ランダーが宇宙環境で正常に動作し、打ち上げの過酷な条件に耐えられることを確認するためのものだ。
Blue Ghostがこれらのテストに合格すれば、その後は米フロリダ州ケープカナベラルに輸送され、2024年第4四半期(10〜12月)にSpace Exploration Technologies(SpaceX)の「Falcon 9」ロケットで打ち上げられる。地球の周回軌道に約1カ月滞在してシステムの動作を確認、2週間をかけて月を周回する軌道に乗る予定。
2024年10~12月には、日本のispaceが進める民間月探査プログラム「HAKUTO-R」のミッション2としてランダー「RESILIENCE」が打ち上げられる予定。
Blue Ghostによる今回のミッション(Blue Ghost Mission 1)の正式名は「Ghost Riders in the Sky」。CLPSではすでに、Astrobotic Technologyが「Peregrine」で、Intuitive Machinesが「Odysseus」(ミッション名「IM-1」、ランダー「Nova-C」)で月着陸を目指した。Peregrineは推進剤の喪失で月着陸を断念。Odysseusは、2月に世界初となる民間企業による月着陸を成功させている。