エヌビディアのGPU、宇宙仕様でまもなく打ち上げ--衛星もようやくAI時代に

ニュース

エヌビディアのGPU、宇宙仕様でまもなく打ち上げ–衛星もようやくAI時代に

2024.08.15 13:30

塚本直樹田中好伸(編集部)

facebook X(旧Twitter) line

 NVIDIAのGPU「Jetson Orin NX」がSpace Exploration Technologies(SpaceX)の「Transporter 11」ミッションでまもなく打ち上げられる。海外メディアのSpace.comが報じている

 宇宙で使用されるコンピューターは、宇宙線に耐えられる素材で作られ、高線量の放射線に耐えられるように設計されなければならない。そのための作業には何年もかかるので、衛星には時代遅れのプロセッサーが搭載されている。

 ジョージア州を拠点とするCosmic Shielding Corporation(CSC)は、宇宙線を構成する荷電粒子を阻止する、特殊なナノ複合シールド・メタマテリアルを開発。この素材でJetson Orin NXを保護し、米国時間8月16日に相乗りミッションとなるTransporter 11で打ち上げる。

 「これは宇宙に打ち上げられた中で最速のAIコンピューターとなる」と、CSCの共同設立者で最高経営責任者(CEO)のYanni Barghouty氏は語っている。「このミッションの目的は、Jetson Orin NXが軌道上でエラーを最小限にしながら、正常に動作することを実証することだ」

 NVIDIAのGPUは、サンフランシスコを拠点とする宇宙用コンピューターメーカーのAethero Spaceが製造したキューブサットに搭載されて飛行する。4カ月間、軌道上でのミッションの間、数学的な計算が主な仕事であり、その結果は地球に送られ、注意深くチェックされるという。

 「宇宙の放射線がもたらす影響はエラー。GPUは、多くのトランジスタが並列に計算を実行するため、特に影響を受けやすい。一つのトランジスタが影響を受けると、多くの場合、他のトランジスタも影響を受ける」

 この試験が成功すれば、衛星業界はAI(人工知能)の時代に本格的に突入することになるという。既存の衛星メーカーに加え、衛星で画像を直接分析、処理できることを望む地球観測事業者から、防護装置に対する多くの需要があるとCSCは見込んでいる。

(出典:CSC)
(出典:CSC)

関連情報
Space.com

Related Articles