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シンスペクティブ、小型SAR衛星「StriX」5機目を7月30日以降に打ち上げ–傾斜軌道に投入
2024.07.25 17:45
Synspective(東京都江東区)は7月25日、自社で開発する小型の合成開口レーダー(SAR)衛星「StriX」(ストリクス)シリーズ5機目の打ち上げ予定を発表した。7月30日以降にRocket Labの「Electron」でニュージーランドのマヒア半島から打ち上げる。予定期間は2週間。最終的な打ち上げ日時は後日決定する。
今回打ち上げるStriXは、第3世代の初号機という。SARセンサーをアップグレードして、高分解能化を図っていると説明。5機目は新しく傾斜軌道に投入する予定。傾斜軌道を周回することで低緯度や中緯度地域の人口密集域に撮像リソースを集中、需要の高い地域をより高頻度な衛星データを取得できるという。
衛星が撮像する方向や角度、陸域の傾斜勾配などから「不可視領域」が発生してしまうが、今回の傾斜軌道と運用中の太陽同期軌道(SSO)を組みあわせることで、東西南北の4方向から撮像することで不可視領域を避ける撮像の組み合わせを選択できるようになると説明している。
StriXシリーズでは、日本最高という分解能25cmのSAR画像取得に成功している。
StriXシリーズは、これまでに2020年12月に技術実証機「StriX-α」、2022年2月に技術実証機「StriX-β」、2022年9月に初の商用実証機「StriX-1」、2024年3月に4機目の「StriX-3」が打ち上げられ、いずれも軌道投入に成功している。
今回の打ち上げは前回から5カ月という短期間での実施になる。近日稼働予定という新工場での多機生産能力に加えて、短期間での打ち上げ能力を実証することでコンステレーション整備段階が本格化していることを示すとしている。
今回の打ち上げはSynspective専用。ミッションの名称は「Owl For One, One For Owl」。
SynspectiveとRocket Labは、今回の5機目とその次の6機目を打ち上げることで契約している。これとは別に、ElectronでSynspectiveの衛星10機を2025~2027年に打ち上げることで合意している。
Synspectiveは、StriXから得られるデータを販売するとともに、多様な衛星やIoTのデータなどを機械学習やデータサイエンスを組み合わせた、さまざまな地上観測サービスを提供している。高頻度観測を可能にするため、2024年以降に6機、2020年代後半に30機体制の衛星コンステレーションを構築する計画。
StriXシリーズは、重さが従来の大型SAR衛星の約10分の1である100kg級、開発と打ち上げの費用が大型SAR衛星の約20分の1という。大型SAR衛星と同等に近い性能ながら小型化、軽量化で低価格化を図っているとしている。