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宇宙から日本全土の「楽天モバイルエリア化」めざすASTの衛星「9月に打ち上がる」–三木谷社長

2022.08.10 18:21

小口貴宏(編集部)

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 楽天グループで代表取締役会長兼社長を務める三木谷浩史氏は決算会見で、出資しているAST SpaceMobileについて「人工衛星は9月に打ち上がる。楽天モバイルにとって大きな差別化要素になる」とコメントした。

 AST SpaceMobileは、地球低軌道(LEO)にバスケットコート大の巨大な通信衛星を浮かべ、スマートフォンに4Gや5Gの電波を直接届けることを目指している。仮に実現すれば、これまでセルラーサービスを利用できなかった山間部や過疎地域、洋上のエリア化も低コストで実現できる。

 楽天モバイルはAST SpaceMobileと組んだ「スペースモバイル構想」を発表。2023年度以降に、宇宙から日本全土の自社回線エリア化を目指している。

 三木谷氏は同構想について「他の携帯キャリアの場合、人口カバー率が99%を超えていても、本当の山間部だとか過疎地では圏外になることもある。AST SpaceMobileを利用することで、圏外が基本的になくなり、物理的に日本全土を100%カバーできるようになる。これは楽天モバイルにとって大きな差別化要素になる」と述べた。

 なお、AST SpaceMobileは試験衛星「BlueWalker 3」を9月中旬から下旬に打ち上げると発表しており、三木谷氏の「9月に打ち上がる」という発言も、同試験衛星の打ち上げを指すものと思われる。

 また、バスケットコート大にもなる巨大な通信衛星に対しては、スペースデブリの衝突を懸念する声もあるが、AST SpaceMobileは「軌道上を進む方向への投影面積はわずかであるため、デブリの影響は受けづらい」と説明する。また、日本では衛星とスマートフォンが直接通信することは制度上想定されておらず、楽天モバイルが総務省などの関係各社と議論を進めている。

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