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「宇宙バイオ実験」を指先大の極小顕微鏡で実現–IDDKが宇宙特化アクセラレーターASTRAに採択

2022.08.10 13:02

小口貴宏(編集部)

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 指先サイズの独自顕微鏡技術を手掛けるIDDKは、Starburstが展開する航空宇宙特化のアクセラレーションプログラム「ASTRA」に選定された。

 IDDKは、半導体技術を応用したマイクロイメージングデバイス(MID)を開発している。MIDは、光を検知する極小のドット群で構成されたイメージセンサーで、その上に観察対象物を載せることで、顕微鏡のレンズで見たようなものと同じ世界を見ることができるという。従来の顕微鏡のような光学的な構造が一切不要なため、小型で持ち運びが容易な点もメリットとなる。

 「例えばMIDの上に川からすくった水を垂らすだけで、そこにいるプランクトンなどがUSBやワイヤレスでつないだパソコンの画面上で映像として表示される」(IDDK 代表取締役社長の上野宗一郎氏)

 ASTRAへの選定について、IDDKの最高財務責任者である吉岡康平氏は「今回のプログラムを通して、弊社技術の宇宙分野での実装をさらに加速させていく」とコメントした。

 また、IDDKの代表取締役社長である上野氏は「弊社はMIDにより、これまで国主導で国際宇宙ステーション(ISS)で行われてきた宇宙バイオ実験を民間主導へ移行することを目指す。また、人類が宇宙空間での活動を安全に行うには、微小重力や宇宙放射線などといった特殊な環境が人間や生物にどのような影響を与えるのかの研究が必要となる。人類のサステイナビリティという課題において民間主導で宇宙実験ができる環境を整えるということが、今後数年の間に重要となると考えている」と述べた。

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