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【速報】H3ロケット3号機打ち上げ成功–搭載衛星の「だいち4号」(ALOS-4)とは

2024.07.01 12:24

小口貴宏(編集部)

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業は2024年7月1日午後12時6分、国産基幹ロケット「H3」3号機を種子島宇宙センターから打ち上げた。打ち上げは無事成功した。

 打ち上げから約2分後、補助ブースターの「SRB-3」を分離。そして、1段エンジンの燃焼終了、第1段と2段分離を経て、さらに初号機の打ち上げで失敗した第2段エンジンへの点火にも成功し、約16分後にペイロードである先進レーダー衛星「だいち4号」(ALOS-4)を分離した。

だいち4号(ALOS-4)とは

 今回軌道投入に成功したALOS-4は、現在稼働しているALOS-2の後継にあたる衛星だ。H3ロケット初号機の失敗で喪失した先進光学衛星「だいち3号」(ALOS-3)の後継ではない。

ALOS-4
ALOS-4
折りたたまれた状態の太陽光パネル

 特徴は、観測に合成開口レーダー(SAR)を用いる点だ。SARとは衛星から電波を発射し、その反射によって地上を撮像する方式で、太陽光を必要とせず、夜間の撮像が可能だ。さらに電波は雲も透過するため、天候に左右されない観測が可能となる。

アンテナと太陽電池パネルを展開した様子

 ALOS-2からの進化点は、主に観測幅の拡大と、それに伴う観測頻度の向上だ。ALOS-2の3m分解能を維持しつつ、1度に観測できる幅を50kmから200kmに拡大した。これによって、ALOS-2では1度の観測で東京湾の周辺しか撮像できなかったが、ALOS-4では関東平野全体を一度に収められるようになった。

 観測幅の拡大によって実現したのが観測頻度の向上だ。ALOS-2では日本全土を年間で4回程度観測できたが、ALOS-4では20回程度定点観測できるようになった。また、災害時にはアンテナのビームフォーミングによって毎日の観測が可能だが、その観測幅も200kmに広がり、より広域な災害に対応できるようになった。

ALOS-4のミッションとは

 ALOS-4のミッションの1つに、災害発生時の迅速な状況把握がある。SAR衛星であるALOS-4は光学衛星とは異なり、夜間や悪天候下でも地上を撮像できる。この観測幅がALOS-2の50kmに対して4倍の200kmに向上したことで、より広範囲の被災状況を一目で確認できるようになる。

 2つ目は、高精度な地殻・地盤変動の検出だ。電波を時間をずらして地表に当て、跳ね返ってきた波のズレを調べることで、地表の変動をcmオーダーで観測できる。例えば令和6年能登半島地震では海岸に沿って大規模な隆起が発生したが、先代ALOS-2による宇宙からの観測結果と、国土地理院による現地調査結果は一致していた。ALOS-4ではこうした観測をより広い観測幅で実施可能で、火山、地盤沈下といった異変の早期発見に貢献する。また、インフラ老朽化の検知にも威力を発揮すると期待されている。

 3つ目は海洋状況の把握だ。ALOS-4はJAXAが開発した船舶自動識別装置(AIS)受信機「SPAISE3」を搭載している。AISとは300トン以上の船舶に搭載が義務付けられており、船の種類や位置などの情報を電波で送受信する装置を指す。SPAISE3では、混雑する海域でも個々の船舶の識別でき、SAR観測と連動することで、航行の安全の確保を目指す。

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