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ドコモ、成層圏基地局「HAPS」を2026年商用化–「スターリンクに勝てる?」への回答は

2024.06.03 17:26

小口貴宏(編集部)

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 NTTが成層圏通信プラットフォーム「HAPS」の商用サービスを2026年に開始すると発表した。NTTドコモの法人向けプランとして提供し、後に個人向けに拡大する。さらに、グローバル展開も計画しているという。

 HAPSとは、高度約20kmの成層圏に無人飛行機を滞空させて、そこから山間部や離島、砂漠といった地域に携帯エリアを構築する構想だ。いわば「空飛ぶ基地局」と呼べるもので、飛行機の動力源として太陽光発電とバッテリーを用い、地上への着陸は数カ月に1度とする。地上の基地局よりも高高度で見通しが効くため、数十機ほどで日本全域をカバーできる。

 NTTグループは、スカパーJSATとの合弁であるSpace Compassを通じて、HAPSの技術開発を進めてきた。また、機体はエアバスの子会社AALTOが開発する「Zephyr」を採用する計画だ。同機体は無人航空機として世界最長となる2カ月以上の連続滞空をすでに実現している。

 今回の発表に合わせて、NTTドコモとSpace Compassが共同で、エアバス傘下のAALTOに約1億ドルを出資することも表明。HAPSの事業化に向けてアクセルを踏んだ格好だ。

左からSpace Compass代表取締役 Co-CEOの堀茂弘氏、AALTO 最高経営責任者(CEO)のSamer Halawi(サマー・ハラウィ)氏、NTTドコモ 執行役員 ネットワーク部長の引馬章裕氏、Space Compass代表取締役 Co-CEOの松藤浩一郎氏

「スターリンクに勝てる?」への回答は

 2026年のサービス開始当初は、ソーラーパネルの発電量の問題から、まず緯度の低い日本の南半分でサービスを展開する。北海道を含む全国への拡大は2030年頃を目指す。

 なお、KDDIは2024年にStarlink衛星とスマートフォンの直接通信サービスを開始予定だ。上空から地上を携帯エリア化する点では共通だが、HAPSはStarlinkに勝てるのだろうか。この疑問について担当者は「良く聞かれる」と前置きしつつ、HAPSのメリットは地上の基地局と遜色のない高速大容量通信を実現できる点だとした。カバレッジではStarlinkに優位性があるが、より限定的な地域に高速大容量通信を提供できるのがHAPSであり「勝った負けたで比べるものではない」と述べた。

 なお、NTTは人口希薄地域にも通信サービスを維持する責務を負っている。この維持にHAPSの活用を検討する考えも示した。

ソフトバンクより小型の機体に

 HAPSはソフトバンクも開発しているが、ドコモが用いる機体はソフトバンクの機体より一回り小さい。このため、当初は基地局の全機能は搭載できず、地上からの電波を中継するリピーター機能で地上にエリアを構築する。なお、ソフトバンクのSungliderは基地局機能の全搭載を目指している。

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