中国、試験衛星を打ち上げ--空気抵抗の大きい「超低軌道」で何を観測するのか

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中国、試験衛星を打ち上げ–空気抵抗の大きい「超低軌道」で何を観測するのか

2024.05.24 18:30

塚本直樹田中好伸(編集部)

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 中国は現地時間5月21日、新技術をテストするため4機の衛星を超低軌道に打ち上げた。海外メディアのSpace.comが報じている

 中国北西部の甘粛省にある酒泉衛星発射センターから打ち上げられた固体ロケット「快舟11号」(Kuaizhou-11:KZ-11)は、武漢大学が開発したリモートセンシング衛星「武漢1号」と、地球超低軌道(Very Low Earth Orbit:VLEO)を周回する統合リモートセンシング技術検証衛星「楚天(Chutian)001号」などを搭載。国営宇宙開発企業、中国航天科工集団(CASIC)が打ち上げの成功を確認した。

 楚天は、政府の研究機関である中国科学院(CAS)が計画している、300機で構成されるコンステレーション。高度150~300kmのVLEOを周回する衛星は通信時間の短縮や信号の強化、電力の低減、打ち上げコストの削減などのメリットがあるとされている。だが、大気の抵抗が強いことから推進系システムを使用する機会が多いため、寿命が短く頻繁に交換する必要があるといわれている。

 CASがVLEOにコンステレーションを構築するのは、地球からの高解像度の観測データをリアルタイムで収集し、そのデータを軌道上で処理し、その結果を地上に高速で伝送する能力を狙うためとみられている。感知、計算、伝送という3つの機能を一体化することで、新しい衛星サービスを提供できるとしている。

 快舟11号はその他にも、太陽観測衛星「天眼22号」と、零重力実験室(ZeroG Lab)のリモートセンシング衛星「霊雀3号(01)」を打ち上げた。今回のミッションは、快舟11号にとって3回目の打ち上げとなった。

(出典:Ourspace)
(出典:Ourspace)

関連情報
武漢大学発表
Space.com

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