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宇宙で栽培したバジルは何が違うのか–「きぼう」で宇宙生物学に触れる未来
2024.05.10 09:00
フィリピンの宇宙機関であるフィリピン宇宙庁(Philippine Space Agency:PhilSA)が「Kibo-ABC」で進められている「Asian Herb in Space」(AHiS)に参加した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の有人宇宙技術部門が5月9日までに発表した。
Kibo-ABC(Asian Beneficial Collaboration through“Kibo”Utilization)は、アジア太平洋地域の宇宙利用の促進を目的に設立されたアジア・太平洋地域宇宙機関会議(Asia-Pacific Regional Space Agency Forum:APRSAF)で進められている取り組み。国際宇宙ステーション(ISS)にある日本実験棟「きぼう」のアジア太平洋地域での利用促進と価値を共有することが目的。
きぼう利用で参加する各国のプログラムの立案や実行の経験蓄積と能力向上、宇宙実験を目指す研究者や技術者、青少年の普及啓蒙と情報発信、日本との二国間協力プロジェクト創出などを進めている。
AHiSは、アジア太平洋地域の学生や若手研究者に宇宙生物学を学ぶ機会を提供することが目的。参加するそれぞれの国や地域での教育プロジェクトは、参加する各宇宙機関が独自に計画、立案して進める。2つのミッションで構成される。
AHiSのミッション1では、日本のスイートバジルの種子とマレーシアのホーリーバジルの種子を打ち上げ、軌道上で約1カ月間栽培後、凍結回収して、日本とマレーシアの研究者が植物に与える宇宙環境影響を解析する。ミッション1に参加する学生は、JAXAが提供したスイートバジルを地上で栽培して、軌道上で栽培した結果と比較、考察する。研究者の分析結果を参照することで宇宙実験の意義や成果を学生は学ぶことになるとしている。
AHiSのミッション2では、参加する国や地域から収集したハーブの種子を宇宙飛行させてから各地に返還。宇宙飛行させたハーブの種子を参加する国や地域の青少年が育てることで科学に触れる機会となる。
PhilSAはミッション2の種子打ち上げ後にAHiSに参加した。そのため、JAXAが準備したコリアンダーとスペアミントの種子をPhilSAに提供した。宇宙飛行した種子は、教育目的でフィリピンの学生、研究目的で高等教育機関に渡された。
PhilSAは、学生向けイベント「Herb in Space Comic Strip Contest」を主催。学生たちは、創造性や科学的スキルを駆使して「コリアンダーの種子が地球から宇宙へ旅に出て地球に帰還する」までをマンガで表現して、順位を競った。
AHiSに参加しているのはオーストラリアやバングラデシュ、インドネシア、日本、マレーシア、ネパール、ニュージーランド、シンガポール、台湾、タイ、アラブ首長国連邦(UAE)、ベトナム。