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インターステラ、ロケット「ZERO」エンジンのガスジェネレーター燃焼試験に成功

2022.08.03 13:06

飯塚直

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 観測ロケット「MOMO」と超小型人工衛星用ロケット「ZERO」を開発、製造しているインターステラテクノロジズ(北海道大樹町)は8月2日、ZERO用60キロニュートン(kN)級エンジンの重要部品であるガスジェネレーター(ガス発生器)の実機モデルでの燃焼試験に成功したと発表した。

 ZEROのガスジェネレーターは、長さ約23cm、直径約12cm、重さ約2kgで、素材はステンレスと耐熱合金のインコネル製。高温高圧のガスを発生させ、ターボポンプのタービン部分の動力源となる小型の燃焼器となる。

ガスジェネレーター(出典:インターステラテクノロジズ)
ガスジェネレーター(出典:インターステラテクノロジズ)
ZEROロケットエンジン構想図(出典:インターステラテクノロジズ)
ZEROロケットエンジン構想図(出典:インターステラテクノロジズ)

 同社では量産化を見据え、削り出し加工ではなく鋳造を採用。燃焼室に推進剤を送り込むインジェクター(燃料/酸化剤噴射器)には、金属3Dプリントを使ってコスト低減を図っているという。

 これまではガスメタンで試験を実施してきたが、大樹町の北海道スペースポート(HOSPO)内専用射場「Launch Complex-0」での試験で初めて、実際の打ち上げに採用する液化メタンを燃料に使い、ガスジェネレーターが要求性能を満たしていることを確認したという。

液化メタンはカーボンニュートラルに貢献できるという(出典:インターステラテクノロジズ)
液化メタンはカーボンニュートラルに貢献できるという(出典:インターステラテクノロジズ)

 同実験による燃焼時間は、最大20秒。規定のガス温度や圧力、流量、温度分布の均一化目標を達成した。

 これまで打ち上げてきたMOMOでは、推進剤をヘリウムガスで加圧してエンジンに送り込む「ガス押し式」を採用している。

 一方、初号機打ち上げに向けて開発を本格化させているZEROでは、よりロケットの大型化や大出力化に適したターボポンプを初めて搭載。ガスジェネレーターで発生させたガスの力で、ターボポンプのタービンを1分間に数万回転と高速回転させる「ガスジェネレーターサイクル」を新たに導入している。

 ガスジェネレーターについては、2016年から基礎研究を始め、その技術の一部はMOMOの姿勢制御にも活用している。今回の試験の成功を受け、今後はエンジンの他の部品と組み合わせた複数の試験を経て、2023年度のエンジン統合試験へと進む予定だという。

ZEROの構成(出典:インターステラテクノロジズ)
ZEROの構成(出典:インターステラテクノロジズ)

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