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宇宙ホテルや月面基地では何が必要か–「暮らしたくなる」宇宙を作るための未来構想公開
2024.03.28 14:50
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、暮らしやヘルスケアの分野でのビジネス共創プラットフォーム「THINK SPACE LIFE」(TSL)の取り組みとして、暮らしたくなる宇宙を作るための未来構想「Space Life Conception」をTSLの参画企業やワークショップ参加者などと構想し、「Space Life Conception Ver.1.0」(PDF)を制作した。JAXAの新事業促進部が3月28日に発表した。
TSLでは、これまで進めてきた、現状の宇宙生活の課題を解決するために、現在を起点に未来を予測する「フォアキャスティング」型で活動。加えて、未来の宇宙の暮らし(目指すべき世界)を描いて、今からすべきことを発想する「バックキャスティング」型のイノベーション創出の起点とするための取り組みとしてSpace Life Conceptionを開始した。
Space Life Conceptionの一環として、2023年9~10月に開催した全4回のアイデアワークショップに77の企業や団体、約120人が参加し、宇宙の未来の暮らしについて活発な議論が交わされたという。ワークショップの成果を含めて、2023年に公開したベータ版を更新して、今回のSpace Life Conception Ver.1.0が公開された。
公開されたSpace Life Conception Ver.1.0では、宇宙とは関わりがなかった、宇宙飛行士の訓練を受けていない普通の人々が「行ってみたくなる」「暮らしたくなる」宇宙を、暮らしの視点からまとめてある。
地球低軌道を周回する宇宙ステーションの2030年代前半の日本モジュールや2030年代後半の宇宙ホテル、2040年代後半の月面基地を舞台にさまざまな人々の生活が描かれている。日本モジュールで働く宇宙飛行士、宇宙ホテルで働く人や宿泊する人、月面基地で働く人の日常が分かりやすくまとめられている。
TSLで育まれ、花王やライオン、マンダム、久光製薬、ワコール、スノーピーク、シタテルなどが開発、改良した製品は、国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在している若田光一氏や古川聡氏などの日本人宇宙飛行士が実際に活用している。
JAXAの新事業促進部が中心となって運営する新事業創出プログラムである「JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ」(J-SPARC)の一環として2020年7月に立ち上げられたTSLの活動は、4月以降民間で主導する体制に移行する。Space Life Conceptionは新体制で今後も更新される予定という。