インド探査機「チャンドラヤーン3号」が月着陸時に巻き上げたレゴリスはなぜ最小だったのか?

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インド探査機「チャンドラヤーン3号」が月着陸時に巻き上げたレゴリスはなぜ最小だったのか?

2024.03.21 07:00

塚本直樹

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 インドの月面探査機「Chandrayaan-3」(チャンドラヤーン3号)が月面着陸時に月の塵(レゴリス)がほとんど巻き上げられなかったと報告されている。

 Chandrayaan-3は着陸船(ランダー)「Vikram」と探査車(ローバー)「Pragyan」から構成される探査機で、2023年7月に打ち上げ。同年8月に月面着陸に成功し、インドは米国、旧ソ連、中国に続き、4番目に月面着陸を成功させた国となった。

 3月11~16日に米テキサス州で開催された月惑星科学会議(Lunar and Planetary Science Conference:LPSC)で公開された論文によれば、ランダーのVikramのユニークなエンジン構成のおかげで、降下中にレゴリスをほとんど巻き上げなかったという。ローバーのPragyanに搭載されたカメラによれば、月面上空わずか18mからレゴリスの噴出が検出された。これは過去の月面着陸ミッションで、最もレゴリスの量が少なかったことを意味するという。

 インド宇宙研究機関(ISRO)の科学者であるSuresh K氏によれば、ランダーのVikramには中央エンジンがなく、降下中のエンジン推力が小さかったためだとしている。着陸時には、周囲145m2に2t以上のレゴリスが噴出したことになる。

Pragyanが撮影したVikram(出典:ISRO)
Pragyanが撮影したVikram(出典:ISRO)
Vikramの着陸イメージ。中央部分にエンジンがないことが分かる(出典:ISRO)
Vikramの着陸イメージ。中央部分にエンジンがないことが分かる(出典:ISRO)

関連情報
LPSCで公開された論文(PDF)
Space.com

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