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高砂熱学、月面で水から水素と酸素を作る装置が完成–アイスペースが月まで輸送
2024.03.19 13:40
高砂熱学工業は、月面で水から水素と酸素を生成する装置「月面用水電解装置」のフライトモデルの開発を終え、月への輸送を担当するispace(東京都中央区)に引き渡した。世界で初めて、月面での水素と酸素の生成を目指す。
月には水が氷の状態で存在すると考えられている。この水から水素と酸素を生成すれば、水素と酸素は推薬として月面で宇宙船などを運用するために、酸素は宇宙飛行士の呼吸のために活用し、月面探査の期間延長に役立つ。
約20年前から水素製造技術の開発に取り組んできたという高砂熱学工業は、月面で使用可能な水電解装置を開発。月面で得た水を電気分解して水素と酸素を得る仕組みだ。おおよその大きさは、縦300mm×横450mm×高さ200mm。
地球上で使用する装置と異なり、重力が約6分の1しかない月面でも作動する流体制御を工夫するとともに、真空の月面でも適切な装置温度を保つ熱制御を行う。月へ輸送するため、小型かつ軽量にし、耐震性も確保した。
同装置の目的は、月面で水素と酸素を安定的に生成する技術の実証。太陽光発電の電力で、地球から輸送した水を電気分解して水素と酸素を生成する。水素と酸素を圧縮して貯蔵することや運転と停止の繰り返しなどの動作も検証する。
月への輸送は、ispaceが民間月探査プログラム「HAKUTO-R」のミッション2で月着陸船(ランダー)に搭載して行う。ミッション2の打ち上げは2024年10~12月を予定している。
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高砂熱学工業プレスリリース