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火星の衛星フォボスに降り立つ小型探査車、独仏から日本に引き渡し完了
2024.03.15 07:30
宇宙航空研究開発機構(JAXA)が進めるミッション「火星衛星探査(Martian Moons eXploration:MMX)」で活用される小型の探査車(ローバー)「IDEFIX(イデフィックス)」がJAXAに引き渡された。IDEFIXはドイツ宇宙航空センター(DLR)とフランス国立宇宙研究センター(CNES)が共同で開発した。宇宙科学研究所(ISAS)が3月14日に発表した。
MMXでは、火星まで飛ばした探査機でフォボスとダイモスという2つの衛星を観測する。フォボスに着陸して岩石などの試料(サンプル)を採取し、地球まで持ち帰る。フォボスからのサンプルリターンは史上初の試みになる。
探査機はIDEFIXを搭載。探査機本体より早く、IDEFIXはフォボスに着陸する。
IDEFIXは、探査機本体がフォボスに着陸してサンプルを採取する際のリスクを抑えるために、フォボス表層のレゴリスのさまざまな特性を観察、分析する。科学観測に必要な較正データを取得するためにフォボス表面も探査する。重力が地球に比べ約2000分の1しかないフォボス表面を自走し、いわゆる「斥候」として地形などを探査する。
MMXは「はやぶさ」「はやぶさ2」に続くサンプルリターンミッション。現時点で米航空宇宙局(NASA)の「火星サンプルリターン(Mars Sample Return:MSR)」ミッションよりも早く、火星表面のサンプルを地球に持ち帰ることが期待されている。火星圏への到着は2027年、火星圏からの離脱は2030年。地球への帰還は2031年を予定している。
はやぶさ2の小型着陸機「MASCOT(Mobile Asteroid Surface Scout)」もDLRとCNESが共同で開発した。
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ISAS発表