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「SLIM」月面着陸の瞬間をVRで体験、想像以上にリアルで驚く–東京・銀座で開催中

2024.03.12 15:50

小口貴宏(編集部)

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 三菱電機は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同開発した小型月着陸実証機「SLIM」のピンポイント月面着陸をVRで体験できるイベントを、東急プラザ銀座(東京・中央区)内の「METoA Ginza」で3月10日から開催している。終了時期は未定だが、4月末ごろまでは開催予定だという。

 この「月から見る月面着陸VR体験」は、SLIMを設計した三菱電機が開発したVRコンテンツだ。SLIM設計時の本物のCADデータを活用し、設計や寸法も正確。「本物と寸分たがわぬSLIMができあがっている」と担当者は話す。

 VR体験は3パートにわかれている。第1パートと第2パートでは、軌道上でH-IIAロケットから分離するSLIMと、月周回軌道でのSLIMをそれぞれ観察する。第3パートでは着陸に挑むSLIMを月面から眺められる。なお、1月20日の月面着陸では、着陸直前に2つあるスラスターの片方が脱落し「逆立ち」での着陸となったが、VRでは当初計画に沿って着陸する。

着陸地点の地形や石、砂の様子まで再現

 実際に体験してみると、特に月面の様子がリアルで驚いた。

 三菱電機エンジニアリング 鎌倉事業所 生産情報技術部の柴崎健氏によると、月周回時に見える月のクレーターから、着陸地点の地形や石、レゴリスの様子まで、JAXAやNASAから提供を受けたデータをもとに再現したという。つまり、SLIM着陸地点の月面の様子まで忠実に再現したというわけだ。

 月面から見る地球や太陽の方向、漆黒の空に広がる天体も正確だといい、SLIMが着陸を終えた後も「月面に降り立つってこんな感じなのか」としばらく360度のVR空間を見回し、感慨にふけってしまうクオリティだった。

三菱電機エンジニアリング 鎌倉事業所 生産情報技術部の柴崎健氏

 SLIMの開発に携わった三菱電機 鎌倉製作所 宇宙技術部の千葉旭氏は、SLIMの成功で得られた知見を、火星の衛星「フォボス」に着陸する日本の火星衛星探査計画「MMX(Martian Moons eXploration)」に活かしていきたいと述べた。

三菱電機 鎌倉製作所 宇宙技術部の千葉旭氏

 JAXA 宇宙科学研究所 SLIMプロジェクトチームの石田貴行氏は、SLIMの「誤差100m以内」という高精度月着陸を実現した画像照合航法などについて説明した。

JAXA 宇宙科学研究所 SLIMプロジェクトチームの石田貴行氏

 VR体験では、着陸の直前にSLIMの子機である「LEV-1」と「LEV-2」(愛称:SORA-Q)が放出される様子も再現されていた。このうち、SORA-Qはタカラトミーが開発した超小型月面探査ロボットで、月面に逆立ちしたSLIMの様子を撮影したことでも話題となった。タカラトミー アライアンスキャラクター事業部の石井孝典氏は、SORA-Qが月面での撮影に成功した際の喜びを語った。

タカラトミー アライアンスキャラクター事業部の石井孝典氏

 なお、同VRの体験は7歳以上が対象で、13歳未満の場合は保護者の同意が必要だ。

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