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ニコンのミラーレスカメラ「Z 9」、ISSに搬入–「D5」「D6」を置き換え
ニコンのミラーレスカメラ「Z」シリーズのフラッグシップモデルである「ニコン Z 9」が米航空宇宙局(NASA)に納入された。ニコンが2月7日に発表した。
13台のZ 9のほかに超望遠レンズやマイクロレンズを含む合計15本以上のレンズ「NIKKOR Z」、15個のマウントアダプター「FTZ II」が国際宇宙ステーション(ISS)に運ばれた。
ISSへの「商業補給サービス」(Commercial Resupply Services:CRS)の第2フェーズ(CRS-2)として、米Northrop Grumman(旧Orbital ATK)の無人補給船「Cygnus」の20回目のミッション「NG-20」で運ばれた(NG-20のCygnusは、2001年に事故死したNASA所属宇宙飛行士にちなんで「Patricia “Patty” Hilliard Robertson」と名付けられた)。
NG-20は、Space Exploration Technologies(SpaceX)の「Falcon 9」ロケットの改良型である「Falcon 9 Block 5」に搭載され、米国時間1月30日に米フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地40番発射台から打ち上げられた。Patricia “Patty” Hilliard Robertson号は米東部標準時間1月31日午前4時59分にISSにドッキングした。
現在、ISSに装備されているニコンのデジタル一眼レフカメラ「D6」(2020年5月発売)と、2017年から使用されている「D5」(2016年3月発売)は今回納入されたZ 9に置き換えられるという。
50年以上前の「Apollo 15」(1971年7~8月)以来、ニコンのカメラとレンズはNASAのさまざまなミッションなどに使用されてきた。
フィルム一眼レフカメラ「F5」(1996年10月発売)とNIKKORレンズは、1999年からISSで使用され、科学研究やメンテナンス、宇宙飛行士による地球や天空、その先の象徴的な画像の撮影をサポートしてきたと説明。これらの機材は、ISSの内部だけでなく、NASAが開発した特別な保護カバーで真空状態の宇宙空間でも使用されたという。
2008年にはデジタル一眼レフカメラ「D2XS」(2006年6月発売)、2013年には38台のデジタル一眼レフカメラ「D4」(2012年3月発売)と64本のNIKKORレンズがISSに届けられた。
ニコンによると、ISS内で使用されるZ 9本体自体は、宇宙ミッション用に特別な改良などが加えられていない市販品と同等という。だが、NASAと協力して宇宙飛行士と宇宙環境に適したカスタムファームウェアを開発し、搭載しているという。
ISSで乗組員や機材が常に浴びる宇宙放射線を考慮した、ノイズリダクションの適用範囲を高速シャッターにも拡張する対応などが含まれる。ISSでの使用や船外活動時に保護カバーに包まれた状態で使用できるように最適化を図るとともにファイル名の付与ルールや初期設定など操作性が変更されている。
宇宙飛行士のワークフローを簡素化し、宇宙から地球に画像を送信する際の効率を高めるとともに消費電力を削減するために、カメラ内のFTP通信制御にも変更が加えられているという。
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ニコンプレスリリース