小型SAR衛星5号機「ツクヨミ-I」、高精細モード撮影の画像を公開

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QPS研究所、小型SAR衛星5号機「ツクヨミ-I」の高精細撮影画像を公開

2024.02.02 12:44

飯塚直

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 小型の合成開口レーダー(SAR)衛星を開発、運用するQPS研究所(福岡市中央区)は2月1日、2023年12月15日に打ち上げられた「QPS-SAR」衛星5号機「ツクヨミ-I」の高精細(スポットライト)モードで撮影した画像を公開した。

 ツクヨミ-Iは、2023年6月に打ち上げた、同社にとって初の商用機となる6号機「アマテル-III」に続く、衛星コンステレーションを構築するための2機目の商用機。

 Rocket Labの小型ロケット「Electron」(ミッションネーム:The Moon God Awakens)で打ち上げられ、約1カ月後の2024年1月17日にファーストライト(初画像)を公開している。その後も調整を続け、スポットライトモードで撮影した画像を公開できるようになったという。

 すでにサービス提供を開始しているアマテル-IIIと同じく、民間のSAR衛星として日本最高というアジマス(衛星の進行方向)と、レンジ(衛星の進行方向と直交する方向)の分解能はともに46cmで観測できるという。

 ツクヨミ-Iは分解能が46cmのスポットライトモードと分解能が1.8mの通常(ストリップマップ)モードで撮影できる。今回公開されたのは以下の条件で撮影された3つの画像。

  1. オーストラリア・シドニーで現地時間1月27日午前3時39分に観測。天候はくもり。アジマス分解能46cm×レンジ分解能45cm(オフナディア角30.5度)
  2. 福岡県福岡市で日本時間1月25日午前10時7分に観測。天候はくもり。アジマス分解能46cm×レンジ分解能46cm(オフナディア角29.4度)
  3. 北海道函館市で日本時間1月24日午後1時30分に観測。天候は、晴れ。アジマス分解能46cm×レンジ分解能82cm(オフナディア角16.3度)
オーストラリア・シドニー。シドニーは海と山の美しい自然とビジネス街が融合し、街のシンボルのオペラハウスやアーチが目を引くハーバーブリッジがあるなど特色豊かな街という。街の大部分は丘陵上にあり、特に湾に面したエリアは、坂道も多く、海岸線は低木の茂る岬や三日月形の砂浜が交互に連なっていて砂嘴(さし)や陸繋島(りくけいとう)などがあるのも特徴と説明。画像ではシドニーを囲む港の様子が細部まで観測できている(出典:QPS研究所)
オーストラリア・シドニー。シドニーは海と山の美しい自然とビジネス街が融合し、街のシンボルのオペラハウスやアーチが目を引くハーバーブリッジがあるなど特色豊かな街という。街の大部分は丘陵上にあり、特に湾に面したエリアは、坂道も多く、海岸線は低木の茂る岬や三日月形の砂浜が交互に連なっていて砂嘴(さし)や陸繋島(りくけいとう)などがあるのも特徴と説明。画像ではシドニーを囲む港の様子が細部まで観測できている(出典:QPS研究所)
シドニーの拡大。商工業や金融、交通の街として国の経済の中心であり、高層ビルが立ち並ぶエリア。ビルの階層を確認できる(出典:QPS研究所)
シドニーの拡大。商工業や金融、交通の街として国の経済の中心であり、高層ビルが立ち並ぶエリア。ビルの階層を確認できる(出典:QPS研究所)
シドニーの拡大。シドニー市街とノースシドニーを結ぶシドニー・ハーバーブリッジは全長が約1149m、幅が49mのシングルアーチ橋。鉄柱や鉄脚の細部まで確認できる(出典:QPS研究所)
シドニーの拡大。シドニー市街とノースシドニーを結ぶシドニー・ハーバーブリッジは全長が約1149m、幅が49mのシングルアーチ橋。鉄柱や鉄脚の細部まで確認できる(出典:QPS研究所)
シドニーの拡大。ポート・ジャクソン湾に小さなプレジャーボートがたくさん映っている(出典:QPS研究所)
シドニーの拡大。ポート・ジャクソン湾に小さなプレジャーボートがたくさん映っている(出典:QPS研究所)
画像の中心が福岡市の繁華街、天神。右側には博多駅、左上には福岡PayPayドーム。山と海に囲まれ、街中には大きな公園もある緑豊かな街の特徴という。天神では都市再開発「天神ビッグバン」プロジェクトで複数の新しい高層ビルが誕生している(出典:QPS研究所)
画像の中心が福岡市の繁華街、天神。右側には博多駅、左上には福岡PayPayドーム。山と海に囲まれ、街中には大きな公園もある緑豊かな街の特徴という。天神では都市再開発「天神ビッグバン」プロジェクトで複数の新しい高層ビルが誕生している(出典:QPS研究所)
福岡市の拡大。天神エリア。建設中のビルを多く確認できる(出典:QPS研究所)
福岡市の拡大。天神エリア。建設中のビルを多く確認できる(出典:QPS研究所)
福岡市の拡大。博多駅周辺(出典:QPS研究所)
福岡市の拡大。博多駅周辺(出典:QPS研究所)
福岡市の拡大。福岡PayPayドーム(出典:QPS研究所)
福岡市の拡大。福岡PayPayドーム(出典:QPS研究所)
福岡市の拡大。福岡県庁周辺(出典:QPS研究所)
福岡市の拡大。福岡県庁周辺(出典:QPS研究所)
福岡市の拡大。大濠(おおほり)公園(出典:QPS研究所)
福岡市の拡大。大濠(おおほり)公園(出典:QPS研究所)
函館市。函館市街と星形の五稜郭。右に函館港が広がっている(出典:QPS研究所)
函館市。函館市街と星形の五稜郭。右に函館港が広がっている(出典:QPS研究所)
函館市の拡大。五稜郭エリア(出典:QPS研究所)
函館市の拡大。五稜郭エリア(出典:QPS研究所)

 QPS研究所は、2005年に福岡で創業した宇宙開発ベンチャー企業。従来のSAR衛星の20分の1の質量、100分の1のコストで100kg台の高精細小型SAR衛星「QPS-SAR」を開発しており、現在は商用機2機を運用。夜間や天候不良時でも高分解能、高画質で観測できる世界トップレベルというSAR画像を提供している。

 2027年度の24機体制、最終的には36機による衛星コンステレーションを構築し、平均10分ごとの準リアルタイム地上観測データサービスの提供を目指している。

 今後は、次のステップであるサービス提供の開始に向けた運用の調整を行っていくという。

関連リンク
QPS研究所プレスリリース

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